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「そ、それは…!!」
「どう見たって倉庫にも埠頭にも、人は来ない
この時間帯にしちゃ、尚更こねぇよ。危険なところに行く人間がいるとしたら、マフィアか敵ぐらいだ」
「大丈夫っスかね…」
「信じるしかねぇだろ…だが、相手が青子の“過去”を知ってたら話は別だ」
「っ！」
「そうだ。埠頭も倉庫もこの時間帯からなら薄暗くなっていく
窓もなけりゃ扉もねぇ場所、暗闇が作り出すとしたら…そこはまさに」
「トラウマ…」
ロレイが口を挟むと、「そうだ」と男は前を見ながら言った
「アイツにとって、窓もドアもない場所は絶望そのものだ
“個性”を使おうと、その暗闇は一向に晴れない
ガキの頃から企ててたとしても、光のない部屋に10年もいりゃ、そりゃ病むに決まってんだろ」
「……………」
「まあ、それは10年前のアイツだったらの話だ
今は…違うだろ」
「そりゃそうっスけど…」
「時間がねぇ、飛ばすぞ」
「え」
「え？」
「む、無理っスよ!? この車、先月修理出してさっき受け取ったじゃないっスか!!!」
「人命がかかってんだろ、しのごの言ってねぇでつかまってろ」
「ちょっ!? アッシュくん、どっかにつかまるっスよ!!!」
「え？」
ロレイの言う通り、手近な場所にあった取っ手を掴むと「いくぞ」と、車は急発進をした
「ちょっ、ライアンさん!! ポリ公につかまったら、俺たちやばいんスからね!?」
「この時間帯にポリはいねぇよ!!」
「いるっスからね!!?」
ギャギャとタイヤが悲鳴をあげるのと同時に「ぎゃーーーーー!!! 事故るーーー!!!」と騒ぎ立てる
ｷｷｨｨｨｨｨｯ
「おい、着いたぞてめーら」
「ライアンさん…二度とハンドル握らないでくださいっス」
「あ？」
「帰りは電車、電車使うっス」
「金の無駄だろ」
「せめて法定速度は守ってほしかったっス」
「守ってただろうが。つか、時間ねぇから急ぐぞ」
ガチャリとドアを開けて外に出ればすでに薄暗く、日が沈みかけている
「…どうやら、ここで当たりみたいだな」
「っスね…青子の匂いが微かにあるっスね…それから、血の匂い」
「!?」
「ロレイ、先に探ってこい」
「了解っス」
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作者名：サッカーバカ
| 作成日時：2021年4月16日 22時
