元殺し屋はヒーローになる17 (ページ3)

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『515号…ここだ』

汚いドアの前に「515」という名札が付けられており、錆びれたドアノブが小さく飾られている

『アッシュ、そこにいるの？
私よ、ロゼリアだよ。アッシュ、いるの？』

コンコン、と数回ノックをしても反応がなく、どうしたのかと思い『アッシュ、入るからね？』と断りを入れてからドアノブに手を回し中に入った

…中に入った？

『えっ、鍵開いてる』

「不用心だな…」

『アッシュ、いるの？入るよ？』

薄暗い部屋の中、廊下の明かりが部屋の中に薄暗く入っていき、ぼんやりと見え始めた人影

ベッドにぐったりと横たわり、両手首を紐でがんじがらめにベッドの柵にくくりつけられ、裸で横になり乱暴された痕跡が残っているアッシュがいた

『えっ…』

「アッシュ!?」

「!!?」

ブランカの声に驚いたアッシュはそのまますぐに起き上がると、「く、来るなっ!!」とベッドのシーツを体に巻きつけながらそう叫んだ

ガクガクと体が震え始めたアッシュは、息が短くなっていく

『アッシュ!!』

紙袋を放り出し、ベッドの上に座って震えるアッシュの元に駆け寄ると、体が固まり息ができていなかった

『アッシュ!! アッシュ、息をするの!! 大きくゆっくり!! 暴れないで!!』

「み…、る…なっ……！」

『何もしないから!! 落ち着いて！私を信じて!!』

ギュッと抱きしめれば、ガクガクと震えていたアッシュの体がゆっくりと震えなくなっていく

『何もしない、本当だよ。信じて
大丈夫、私がいるから…もう大丈夫…落ち着いて、大丈夫…
ゆっくり息をして、そう…上手だよ』

細く白い肌に赤く滲む血
冷や汗をかいて冷たくなる体温にどんどんと怒りが湧き上がってくる

許さない…逆らえないからってこんなことをしていいはずがないのに

「ロゼリア……」

『大丈夫、大丈夫だよ…私がいる』

気にしなくていい、何も考えなくていい
今はもう何も考えるな

アッシュを抱きしめる力をほんの少し強くした