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「あれ、ショーターあれ」
「？」
「深谷さんじゃない？」
「え？」
英二が指を差した方向にいたのは、修学旅行で同じ班になり、俺の隣の席の転校生だった
手には買い物をしたであろう袋がぶら下がっており、スマホと紙を交互に見ては睨めっこをしたり、ため息を吐いたりしている
「なんだよー。用事なかったのかよ」
「声かける？」
「やめとけよ。誰かと来てたらどうするんだよ」
あの様子からしてひとりで来そうだが、ひとりで買い物をしたいかもしれない
俺は声をかけない方がいいと言ったが、世話焼きのショーターと英二は転校生の方に走っていった
「おーい、澪緒ー」
「深谷さーん」
『！』
ショーターと英二の声に驚いた転校生は『え、ショーターと奥村くん？』と目を瞬かせ俺に気づくと『アッシュくんも…』とさらに目を瞬かせた
『あ、そっか買い出し』
「あぁ」
「深谷さんも買い出し？」
『うん』
「ペールグリーンとオレンジ？派手なの選んだな」
『そうかな？使い勝手もいいと思うし、使い回しもできるし』
買い物袋の中を覗いたショーターに転校生はそう答えると、『3人は買い物終わったの？』と聞いてきた
「いや、Tシャツとか買いに行くかって話になっててよ」
「そしたら深谷さんがいたから声をかけたんだ」
『そうだったんだ…』
「澪緒は？なんか買うのあるのか？」
『あとは日用雑貨とサポーターと…』
「サポーターって…修学旅行で使うのか？」
『あ、お兄ちゃんのだよ』
「あぁ…」
「お兄さんは？」
『部活だよ。夕方まであるから私が代わりに』
へー、家族思いってやつか？
俺には関係ないが、別に話に参加しても
「一緒に買い物する？」
「いいなそれ」
「お、おい…！」
勝手に決めた2人に俺がすかさず止めに入ると、『あ、いいよ』と転校生は遠慮した
『すぐに終わるし』
「え、でも…」
転校生は『大丈夫、また月曜日ね』と言ってパタパタと走っていった
「どう見ても…」
「遠慮、してたよね」
「だから言ったろ」
「もー。アッシュがちゃんと誘わないから」
「俺のせいかよ」
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作者名：サッカーバカ
| 作成日時：2021年3月23日 22時
