元殺し屋は排球部にいく (ページ8)

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『悔しいなぁ…！』

すごく、今のは入ったと思った
けど、アウトだったんだよな…

でも…あの無理な体勢から片足で踏み切ってあのジャンプ…
目で追うだけで精一杯な気もしたけど、あいにくマッハ20の怪物のおかげで、動体視力は鍛えられている

今のは完全にセッターのミスのせいだ
バックトスなんて予測してたわけない

だけど

あの子はそれを可能にした

高い運動能力

反射

自分の体を操るセンス

そして、勝利への執着

それらを持っていながらあの子は…3年間、どんな思いでバレーをしていたんだ

見つけるのが遅くなってしまった天性の才能

『あーあ、惜しいなぁ…』

《どう言うことですか？》

『“向こう”にいたら、私絶対あの子スカウトしてた』

《？》

『あんだけスーパスターの才能持ってりゃ、誰だって目をつけるのに…たった3年間、人に恵まれなかっただけで発掘が遅くなってしまった…
見つけてあげて欲しいね、宝石の原石』

磨いて叩いて磨いて、きっとあの子は宝石よりも輝ける
それだけの才能が彼には備わっている

「あ、あのっ！」

『？』

「れ、連絡先交換して」

『帰るか』

「田中～」

「ナンパかよ」

…ん？

『烏野、高校？』

「お？」

「だべ」

「おぉ…！」

『へぇ、高校…高校生が見にくるほど面白い人いるんだ』

「まぁな」

『誰見にきたんですか？』

「さっきの試合のあの…2番だよ」

『うげっ…クソガキ…』

さっきのクソガキかよ…
マジか…そんなに面白い選手？

『なんであんな中学生を？』

「“王様”って呼ばれてるんだよ。“コート上の王様”！」

『王様？』

「そう。セッターの影山
鋭いトス回しに加えてブロックやサーブでもガンガン点を稼ぎ、抜群の身体能力とバレーセンスでコートに君臨する“王様”！」

『王様、ねぇ…？由来が気になるね…律、調べれる？』

《お任せください！少し時間をもらいますね！》

『うん』

それにしても、烏野か…
…なんか、面白くなってきた

『あの』

「？」

『携帯持ってますか？』

「あ、あぁ…」

『ちょっと貸してもらえません？』