元殺し屋は排球部にいく (ページ46)

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「青子ちゃんの家ってでっかいよね」

『まあ、平均よりはでかいと思います』

夜道を歩く中、隣には送ると言って拒否権すらくれなかった及川さんがいる
あまり夜道に歩かせたくないのはこちらとしても同じ理由である

男だろうが、女だろうが、このご時世は見境なく襲ってくる
それがたとえ、女子供でなくても、男であることも意味する

人のシュミはそういうの多いし、あんまり関わりたくないんだけどね…

「青子ちゃんの友達って、この間のツンツン頭の子以外にいるの？」

『ツンツン頭？』

「ほら、めちゃくちゃキレ散らかしてた」

『…あぁ、爆豪ですか。まあ、他にもいますよ』

「へぇ…どんな子がいるの？」

『どんな子…』

どいつもこいつもキャラ濃いからな…
爆豪かっちゃんみたいなパンチ力のあるような奴もいりゃ、それ以上のパンチかましてくるのもいるし…

『そうですね…友達思いとか…常にてっぺん目指してる奴とか…とにかく、色んな奴がいます』

緑谷に焦凍、飯田や麗日ちゃん、カルマに渚
みんな友達だ

だけど私は、いつかきっとみんなを傷つけ裏切る

だからあんまり近づきたくないんだ
近づけば近づくほど、離れる時のダメージは大きい

付かず離れず、これをモットーにしていかないといけないのに…みんなが歩み寄ってくる

「…青子ちゃんの友達は幸せだね」

『え？』

「だって、青子ちゃんにそう言ってもらえて嬉しいじゃん」

『……………ハハハ、何言って…私に言われたって嬉しいわけ』

「嬉しいよ、少なくとも俺は嬉しい」

『……っ』

いつか裏切るのに？傷つけるのに？
緑谷たちを、焦凍を…大事な奴らだから、傷つけたくないんだ

だから私は裏切るんだ

『…及川さんが変なこと言うから、馬鹿だって思ったじゃないですか』

「んえっ!?」

負けちゃいけない戦いがまだある限り、逃げるわけにはいかない
だから私は鬼にでもなれる