元殺し屋は排球部にいく (ページ11)

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『はーるのー、うらーらーのー、すみーだーがーわ？』

あれ、この後の歌詞なんだっけ？
まあいいや

季節、夏です
常夏です。と言いたいですが、宮城なのでそこまで暑くないと信じています

じーわじーわと蝉が鳴き、じわりと額に滲む汗を拭いながら森の中を歩いています

体力作りの一環として森の中歩いてるけど、虫多いの多いの

『でっかいスーパーとかあっても、でっかいデパートはないんだね…』

参考書欲しさに外に出たけど、完全に参考書目当てで出るんじゃなかったよ
どこまで田舎なんだここは。発展途上国にしよう、発展

「あっっつ！岩ちゃん、アイス買おうよ～」

「うるっせぇ、クソ川」

『だーーーー………律～暑い』

《最高気温、29度を観測しました！》

『しなくていい、リアルな数字求めてないって
つーか、このあたりまじでデカい本屋ないね。参考書とかみんなどうやって買ってんのかな』

ガシャコンという音と共に自販機の取り出し口から買ったポカリを取り出し、パキッと未開封の蓋を取ってゴクゴクと飲む

『しゃーね。一旦帰るか』

《ネットで買うのはどうでしょう。今は1日速達もできますが》

『もっと早く言って』

「あ～～～～～～～～っ！」

『(ﾋﾞｸｯ!!』

「青子ちゃんだ！」

誰だ、なんて思いながら目だけ振り返ると、ペールグリーンのTシャツにエナメルバッグを下げてニッコニコしながら駆け寄ってきた人がいる

うわ、めんどくせー

『律』

《はい》

『家までの最短距離計算して』

《はい！》

ゴキュゴキュっと全てのポカリを飲み終えた後、蓋をしてゴミ箱に投げ捨てる
ガコンという音と共に走り出す

「は、ちょっ、青子ちゃん!?」

「クソ川、女子にちょっかいかけんな！」

ダダダと長い階段を駆け降り、最後の10数段をジャンプして飛び降りた

「はあ!?」

「だからやめろって言ってんだろ！」

「へぶっ!!」

『律、出せた？』

《およそ、2kmです！》

『余裕』

もう参考書いらないや、今度電車使ってでっかいデパート行けばいい話だ