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「耐え難い苦痛だ。そして命令に従ったからといって解放されるわけでもない。対象を失えば苦痛に耐えられず、自己破壊行動に走る
もし生き残っても一生悪夢に悩まされ続けるんだ。お前の兄のように!」










アッシュにそう言ったエイブラハムよりも、目の前で頭を抱えて叫び苦しむノアを見る
俺は無意識に首を横に振った。ダメだ、ノアを、俺は、殺せない












「あああああああああああああ!!!!」









錯乱しているノアのナイフを避けて足元にあったナイフを宙に蹴り上げてキャッチし、自衛のためだけにナイフを構えた
殺すつもりなんてない。俺が殺すのは、子どもを喰いものにする奴らだけだ













『……ノア、ノア、俺だ…アレンだ…わからないか?頼む』










俺の呼びかけに反応しないノアは襲いかかってくる
振り回されるナイフをナイフで受け止める










「やめろ!頼むからやめてくれ!」

「誰か、やめさせろっ!」

「やめろ…」

「アレン…」

「やめてくれ…」

『…………ノア、頼む………もう、もう…やめてくれ』











泣きそうになりながら俺はナイフを受け流していく
目の前に迫ってくる鬼のような顔をしたノアを俺は見たことがない。どうすればいい?ノアを救うには、どうすればいい?








「はあっ、はあっ…」

『………ノア…』










正気に戻ることのないノアに絶望して、俺はナイフを落とした













「アレン…やめろ、やめてくれ…」

「アレン、ナイフを拾えよ!!」

「そろそろ、フィナーレといくか」

「アレン!」

「やめろ、アレン!やめてくれ!」

「終わらせろ、ノア」













オーサーの言葉に反応したノアはゆっくりと俺に歩み寄ってくる
俺はナイフを落とした。自衛する術は己の体術のみだ











『………ノア、俺は、あの時から』

「うぅ………!あぁ…っ!」

「アレン!!!」

「やめろー!!」

「うわああああああああああああ!!!」

『…………仲間だった』
















振りかざされたナイフを受け止めるために目を閉じた俺は、次に来る突き刺すような痛みを予想して待っていた
だが、痛みは襲ってこない














ポタッ














何かが落ちるような音がして目を開けると、ナイフを振りかざしていたノアが、泣いていた
アクアマリンの瞳から大量の涙が流れていたのだ

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作者名:サッカーバカ | 作成日時:2022年3月12日 9時

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