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アッシュたちに素直に俺の過去を話した
というよりも、断片的なことで惨たらしいあの戦争のことだけは伏せた
気分が良くないからだ
NOside
「英二なら大丈夫さ。アレンは自分の命にかえても彼を守るだろう
危険を承知で英二を連れて行った。そうせずにはいられなかった。さすがにタフを誇るハイエナも、今度ばかりは…1人じゃいられなかったんだろうな」
「……そうだな…」
「…英二は不思議な子だな」
「ん?」
「こう言っちゃなんだが、これといった特徴のない子だ。とても善良で…だがそれだけだ。良くも悪くもアッシュやアレンのような強烈な個性も魅力もない。だが、彼には不思議な力がある。そばにいる人間の気持ちを和ませるんだ。アッシュやアレンとは真逆だ」
「………いや、アッシュやアレンだって…ケープコッドに行った時、2人は本当に楽しそうだった…」
伊部はそう言って、じゃれ合うアッシュと英二、そして1人になることを好んでいたアレンの姿を思い出す
へっぴり腰で銃を扱う英二を見て、アッシュが弾けるように笑った
銃の構え方を教えるアッシュの表情はとても柔らかかった
「彼らが持っているのが銃でさえなけりゃ、同じ年頃の男の子たちがじゃれあってる、心和む風景さ
だか…声をかけるのが遅れて、アッシュは俺に気づいた。その一瞬で、彼は俺の心の動きを読み取っちまったんだ
さっきまでの表情は消え、いつも通りの彼の顔に…不幸な子だと思った
いつからこういうことを身につけてしまったんだろうと…」
「………」
「アレンは、そんな2人を見てとても穏やかな顔をしてたよ…」
銃を持つ英二とそれを教えるアッシュの姿を見ていたというアレンの顔は、とても穏やかで羨ましそうな顔だった
だが、それはすぐに消えて再び朝焼けの空を悲しそうに寂しい表情で見つめていた
「あいつらは英二といる時だけ戻れるんだろう。ただの17のガキに」
「あぁ…なんてこと…アレン、アレン…アレンッ!!
私の可愛いハイエナ…!また刃向かったのね…いいわ、私が直々に出て行ってあげるわ、アレン…あなたは、一生、私のものよ…」
暗がりに映るパソコンの画面には、服を着ずに何度も腰を振られて痛みに耐える表情を浮かべるアレンだった
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作者名:サッカーバカ | 作成日時:2022年3月12日 9時