検索窓
今日:32 hit、昨日:3 hit、合計:6,912 hit

15-3 ページ41

「おーーーい、アレン!」

『……ミカエル』

「俺、明日からナイガラルレラ地区なんだ」

『…………長期戦?』

「おう。半年は帰ってこれねえな〜。ガイルも、半月、リンガーリャル地区だろ?」

『……………うん』











廊下で合流した同期のミカエルは両腕に包帯が巻かれており、訓練帰りなのが伺えた
アレンは真っ直ぐと前を見て、何を考えているのかわからない色を見せた


ミカエルはそんなアレンをガイルと共に気にしていた
あんなに感情豊かで、物知りになりたいと言っていたアレンが、本よりも飯、知識よりも殺しを優先し始めていたことに恐怖と戸惑いがあった






俺の知っているアレンは












「なあ、アレン」

『………?』

「アレンは、自由になりたくないのか?」

『…………自由?』

「あぁ!人なんか殺さないでいられる、自由だよ!」

『……………考えたこと、ない』









ミカエルに言われて、アレンは立ち止まって訓練ルームで反吐を吐きながら訓練に臨む生徒を見た
上官たちにしごかれている後輩たちを見て何も感じないアレンに、ミカエルは「自由になれば、あんなことしなくて済む」と言うと、アレンの琥珀の瞳が揺れ動く

















「なあ、アレン!! 俺たちは、自由になろう!!! ここを飛び出して、自由になろうぜ!!」

『…………………!』

「人なんか殺さないで!青い空の下で!うまい飯食って!そんで笑って!3人で!ガイルと俺と、アレン3人一緒に!!!」

『…………………………』

「俺は、半年帰れないけど、帰ってきたらここから逃げよう!! 一緒に!」

『……………………』










だから、自由になろう!












アレンの壊れた心に、温かいものが注ぎ込まれていく
ミカエルは輝いた笑顔で笑い、「絶対だからなー!」とナイガラルレラ地区へと向かった





1人残されたアレンは、自分の胸がポカポカしているのに気づいた
逃げる?どこから?ここから?なんで?自由になるため?




戸惑いと疑問が押し寄せてきて、アレンはミカエルの背中を見る






自由になると豪語したミカエルが眩しかった
人を殺さない生活をするんだ!と胸を張って言ったミカエルが強いと思った















ミカエルがナイガラルレラ地区の戦争で、惨たらしい死を遂げたことによって、アレンは二度と自由が手に入らないことを悟った

15-4→←15-2



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (18 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
50人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:サッカーバカ | 作成日時:2022年3月12日 9時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。