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アッシュside
「えっ…アレンの、仲間が…」
「あぁ…」
「そんな…」
英二にバナナフィッシュで冒されたアレンの仲間、ノアがアレンの手によって殺されたことを隠さずに話した
アレンが初めて取り乱したことも、静かに涙を流していたことも
そこでわかった
ノアが、英二に似てるんだと
だからアレンは英二に心を許した
俺たちと初めて出会ったあの時よりも、英二が自分の仲間に似ていたから
「アレン、辛かったんだね…」
ベッドの上で泥のように眠っているアレンを眺めながら英二が辛そうに顔を歪める
血だらけの服、髪の毛、アレンがどれほど今まで人を殺してきたのかまるで見せつけているかのようだった
屋敷の廊下で見た、鮮血を浴びながら人を殺すあの姿
あいつがどれほどこれまで殺めてきたのか、まるで教えるようなあの姿
俺はアレンの何を見ていたんだろうか
アレン、俺はお前を助けたい
暗闇の中を歩き彷徨うお前の手を引いて
お前を…
アレンside
モゾリと動いて意識を覚醒させる
ゆっくりと起き上がって、血が止まって固まった傷口を見て、自分の血濡れた姿を見て、あぁ夢じゃないって思った
ノアをこの手で殺した
夢じゃなかった
「アレン、おはよう」
『!』
「スープ、飲むかい?」
『……………………』
「アレン?」
俺の今のこの姿を見ても、英二は何も言わない。言ってこない
なぜこんなことになってるのか、わかってるはずなのに何も聞いてこない
『…………聞かない、のか?』
「え?」
『…………俺が、どうして…こうなったのか』
「…聞かないよ。アレンが、話したい時に話してよ」
『………………』
優しい温かい笑みが、イザベルに似てた
ハクっと口が動いて、乾いた声が出て、喉が熱くなって、俺は下を向いた
『…………な…ぃ』
「?」
『……………ごめ、ん…なさ、ぃ…ごめん、なさぃ』
「アレン?」
『…………ごめんなさい…ごめんなさい』
イザベル、イザイラ、ノエル、ノア、ヴァナ、ヴェル、エリー、フィニ
ごめん、ごめん…
ごめんなさい
“アレンのせいじゃない”
“アレン、忘れていいんだよ”
“前を見て、さあ…生きて”
“生き続けて、アレン”
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作者名:サッカーバカ | 作成日時:2022年3月12日 9時