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俺の胸ぐらを掴んだままのアレンさんを見て、部屋に入ってきたイザベルさんたちがアレンさんを止めようとするけど、アレンさんは聞く耳を持たなかった
『………何がしたい、何が欲しい、何を叶えたい!!
まだ、死にたくないからと、言われた方がマシだ…!』
「っ……!」
『……今一度聞くぞ、ノア………お前は、俺の班に、なにしに来た!!』
真っ直ぐと見せられたビリビリと肌を揺らすほどの強い意志と信念を掲げた琥珀の瞳が俺を捉えて離さない
震える手と口を必死に動かして、張り付いた喉に必死に空気を送って、力の入らない体と手指を動かして、アレンさんの手を掴む
「………俺は……本当は…っ…」
俺がまだ訓練生の時、仲間からひどいほどに虐められていた。俺がもの言わない態度を取った時なんて本当に酷かった
逃げ出したかった。つらくて死にたくなって、だけどそんな時…先輩方のビデオを見せてもらえる機会があって、アレンさんのビデオを見たんだ
真っ赤な鮮血を舞わせて、琥珀の瞳を光らせ灰色の髪の毛を振り乱しながら敵を蹴散らし、なぶり、噛み殺す姿に圧巻された
仲間たちはアレンさんを見て、「化け物だ」とか「アンバーハイエナ」だとか、恐れていたけど俺は違った
あの人のようになりたい
あの人のように強くなりたい
あの人のように自分のやりたいことをやり通したい
誰かを助けたいとか、自分の力を役に立てたいとか、そんなこと胸を張って言えるような人間になりたい
あの人のように、もっとハイエナのようなハイエナになりたい
「俺は!!!」
『!』
「もう、泣きたくない!! もう、誰かに虐められたくない!! 泣いて自分が何もできないなんて思いたくない!!」
「ノア…」
「俺は!誰かのために強くなりたい…誰かに必要とされて、生きてていいって、自信が欲しいんです!!」
『………なら、戦え』
「えっ…」
『………戦って戦って戦って、戦いまくれ…!
自信も、仲間も、そのあとからついてくるんだ!』
「アレン…」
『………アンバーハイエナは、そういう場所だ』
優しいアンバーハイエナの皆さんは、アレンさんを見て、頷いた
俺は、訓練生だった時、死ねとかよく言われてた。弱虫で泣き虫だったから
アレンさんのビデオを見て、この人の背中を守りたいと思った
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作者名:サッカーバカ | 作成日時:2022年3月12日 9時