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ー休み時間ー
「恋雪」
『兄さん』
教室に入ってきたのは兄さんで、「これ、お前忘れてただろ」と言われて手渡されたのは僕のスマホ
あれ、持ってなかったのか
「俺のカバンの中に入ってた。どうしたら入るのか知りたいよ」
『僕、持ってなかったんだ』
「そこからかよ」
手渡されたスマホの画面をつけてスクロールさせて特になんの通知もないことを確認してスマホをしまった
「じゃ、戻るよ。昼にまたな」
『うん』
兄さんに頷き、少ししてからチャイムが鳴ると隣の席の人が戻ってきた
えーと、名前なんだっけ
まあいいや
さっきと同じくオリエンテーションが始まり、僕はいつものように聞き流しておく
どうせまた兄さんから同じようなことを言われるし聞いても聞かなくても同じだろう
僕はそう思い、窓の外を見つめた
ーーーーー
ーーー
ー
「恋雪、昼どうする?」
『僕、カレーパン』
「すいません、カレーパンとアンパン二つずつください」
食堂の購買で買ったパンを持って中庭の方へ向かう
近くのベンチに座り込み「はい」と買ったパンを受け取る
「ちゃんとオリエンテーション聞いたか?」
『ううん』
「…お前……」
もきゅもきゅと口の中にパンを入れて噛んでいると、兄さんは「しっかりしてくれ」と言いながらアンパンを頬張った
「あ」
「アラン」
「恋雪と裕紀」
「何してるん?」
「見ての通り昼ごはん」
もきゅもきゅとご飯を食べると、後ろから「あ、北さーん!」と元気な声が響いてきた
僕はその声を気にすることせず、2つ目のカレーパンを頬張る
「なんや、侑らもここで食べるんか?」
「はい!って…昨日のボールぶつけた人!」
『?』
「宮侑だよ」
『宮…?』
コテン、と首を傾げれば兄さんは「ったく」といつものように呆れ返っている
別に僕だって好きで忘れてるわけじゃないし…勝手に忘れるんだもん、僕の脳が
「俺は宮侑、昨日はすんませんでした」
『?』
「だから、ボールぶつけてきたんだよ」
『あ』
「思い出したか?」
『だから僕の頭、たんこぶできてるんだ』
「ホンマにすんませんでしたッ!!」
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作者名:サッカーバカ | 作成日時:2020年12月12日 20時