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「本当によう来てくださりました…
あの人もきっと喜んでいると思います」
『花奈さん、これ…桜餅と草餅です。よかったら食べください』
「まあまあ…」
花奈さんは宵さんの奥さんで、今年で何歳になるのか僕は忘れてしまったけど、とても可愛らしいおばあさんだ
「縁側でお待ちください。お茶と菓子をお持ちしますね」
『ありがとうございます。北、こっち』
北を連れて縁側の方に回ると「あ、恋雪だ!」と子供たちが駆け寄ってきた
「恋雪!」
「元気だったか!?」
「なあなあ、剣教えてよ!」
「?その後ろの人誰?」
『僕の大事な友達だよ。北って言うんだ』
「北信介や、よろしくな」
「俺、ぽんた!こっちはこんたととんた!」
「こんた!」
「とんた!」
「おう、よろしくな」
「「ひひひー」」
3人と仲良くなり、縁側に座って待っていると「お待たせしました」と花奈さんがお茶とお菓子を持ってきてくれた
「本当にご立派になられましたね」
『……!』
「あの頃は何も宿さない瞳をされていたのに…今ではこんなに立派な目をされて…あの人も喜んでいると思いますよ」
花奈さんに言われて僕は飲んでいたお茶をゆっくりと受け皿に置いて『そうだといいです』と遊んでいる子供達を見つめる
『花奈さん』
「?」
『僕、失っていた記憶を取り戻しました』
「!」
『辛い記憶だった。だけど、忘れちゃいけない記憶だったんです
引き金は些細なことだったけど、師範やお師匠にたくさん迷惑をかけた
だから僕、これから』
たくさんたくさん、恩返しをしよう
兄さんと話し合って決めたことだった
「思い出してくれただけで、いいんですよ…」
『……』
「思い出してくれただけで…私たちは嬉しいんです」
花奈さんは泣いて喜んでくれた
本心からなんだと、すぐにわかる
いつも僕たちの稽古をつけてくれた宵さんも、僕たちに美味しいご飯を作ってくれた花奈さんも
僕たちにとっては大切な家族だ
だから、そう言ってもらえて僕は本当に嬉しかった
幸せだった
「それで、北さんは恋雪さんの夫婦さんになるんですか?」
「え?」
『え?』
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作者名:サッカーバカ | 作成日時:2020年12月12日 20時