無表情と北さん (ページ27)

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ドンッと壁に背中をぶつけた僕は『痛いよ』と澄ました顔で言えば、「知らないわ」と流された

胸ぐらを掴まれて「あんたのその態度ホント腹立つんだよ」と、青筋を立てながら女の子の顔とは思えない顔つきで睨んでくる

「あんたみたいなんが北くんと話すなや」

『知らないよ。僕は関わらないようにしてるのに相手が関わってくるんだ』

「黙れ!!」

『………………』

またギャンギャン叫び出すし、もう僕帰っていい？

「あんたみたいなのが本当に腹立つのよ」

『はいはい』

「調子こくなや」

「ほんまそれ」

「あんたみたいなん可愛ないねん」

「うちらは学校でモテるねん！今日かて告白してきた人おるねんで」

『すごいねー』

「うちらがどんだけ可愛いか知らんからそんな風に言えんねんやろ」

「あんたみたいなんに負けるわけないわ」

『すごいすごい』

「黙れ」

あれ、北の話だったのになんか内容変わってるね
国語の問題からやり直した方がいいと思うよ、君たち
あ、馬鹿だから意味ないか

「あんたみたいな顔だけの人間、誰も好いてくれるわけないやろ！」

その怒号が辺りに響き渡りシーンとする

「なんか言いや!!」

「何黙ってんねん!!」

『いやだってさっき黙れって言われたし…それにそんな事実どうでもいいし』

目の前に迫ってきた拳を避けることなく、バキッという音を立てた

頬がじんわりと痛みだしズキズキとしてきた
口の中が鉄の味になり、『いた…』と血をタラリと口から流す

「ホンマになんなん？」

「舐めてんの？」

『別に舐めてないよ。ただ本当のこと言われてすぐに手を出すような真似する人馬鹿だなって思っただけだし』

また殴ってきたし
殴るしかできないのかな

我慢してるのはもういいかな？
反撃しても僕のせいにはならないよね？もう僕十分すぎるほど殴られたし

ボグッという音を最後に女の子たちは気が済んだのか歩いていく
体中あちこちが痛くて兄さんに怒られるな、なんて呑気に考えながら壁にもたれて痛みを我慢する

あーあ、授業にも教室にも戻れないや
幸いにして次の時間は自主だ
僕がいなくてもさほど問題はないだろうね