5話 呼び出しの時間 ページ26
「時川さん、ちょっとええ?」
『?』
4、5人の女の子に呼び出され連れられてきたのは女子トイレ
この時間のこの女子トイレは誰も来ないから、呼び出すのにはうってつけの場所なんだろう
そして極め付けの話は北のことだ
僕が北と仲がいいのはどうやらこの2、3ヶ月で3年生の女子に知れ渡ってしまったらしい
どうでもいいけど、早く戻りたい
「ちょっと、聞いてんの!?」
ガッと胸ぐらを掴まれて僕は『うるさいな』とボソリとこぼした
女の子たちはカァッと顔を赤くして振りかざした手を振り下ろしてきた
それがスローモーションにしか見えない僕はその手を避けて逆に殴りつけた
パンッと甲高い音と、「いった!」という声
僕から離れて尻餅をついたその女の子は、「殴った…!」と僕を睨みつけてきた
『先に手を出したのはそっちでしょ?』
「だからって殴り返すこと」
『君たち、何をそんなこと言ってるの?
僕は殴られそうになったから避けただけだよ?
それにこれは正当防衛だよ
僕に一度でも殴りたいなら鍛えるべきだね
でも無理だよ。だって君たち、僕より弱いし雑魚だもん』
スッと歩いていき、振り返り『じゃあね、クズ』と言い残してトイレを出た
「お前さ〜、女子殴っただろ」
『?』
「『?』浮かべても説得力ないからな。休み時間、呼び出されてたの見たんだからな」
『へー』
「追いかけたらトイレ入るし叩いた音するし、出てきたお前無傷だし、お前がやったってわかった」
『ふぅん』
「生活指導の先生にチクってたぞ、あいつら」
『ふーん。雑魚がやるような手だね』
「また呼び出しだな」
『痛くも痒くもないよね、馬鹿がすることって大抵意味がわからない』
「俺はお前のその態度が分からん」
お昼休み、いつもの中庭で食べていれば近くにわらわらと群がる男子バレー部たちがいた
面倒だから関わらないようにしよう
「ん、もういいのか?」
『うん』
カレーパンのゴミをゴミ箱に捨てて中庭をてくてくと歩いていく
「ねえ」
『!』
「ちょっと、いい?」
『……………』
誰だっけ?
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作者名:サッカーバカ | 作成日時:2020年12月12日 20時