メシとバレーと恋愛事案 (ページ5)

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『ただいま』

ドアを静かに閉めると、「あ"ーーーーーっ！」といつ大きな叫び声と「よしよーし」と疲れた声が聞こえてくる

『おばあちゃん、ごめんな』

「ええよ、ええよ…響紀こそ大丈夫か？」

『ヘーキやで。おばあちゃん、代わるから』

「今、スープ入れてるな」

泣きじゃくる可愛い弟は、コンコンッと咳をする
優しくポンポンと背中を叩けば「ね、ちゃ…」と擦り寄ってくる

涙がポロポロと流れる弟の瞳にタオルを当てて、『男前が台無しやなぁ』と涙を拭っていると「ねーちゃ」と泣き疲れて眠ってしまう

「かつくん、寝てしもた？」

『おん』

「はい、スープ」

『ありがとう』

勝将を抱っこしたままスープを飲み込み、「ホンマに可哀想になぁ」とおばあちゃんが勝将の頭を撫でる

「喘息は辛いのに、2歳でこんなことなるなんてなぁ…可哀想や」

『代わってあげたいわ…』

「せやな…」

コンコンッ、とまた小さな咳が出てきて、背中を優しく叩く

『ほな、病院行ってくるな』

「気いつけや。なんかあったら連絡するんやで」

『おん』

少し大きめのカバンを肩から下げて、家を出る
かかりつけの医師がおる病院に向かい、定期検診を受ける

「うーん、喘息ちょっと酷なっとるなぁ…薬も増えてしまう…」

『なんとかなりませんか、先生』

「うーん、もうちょっと考えてみるな。勝将～、頑張ろうな～」

「…あい」

コンコンッと小さな咳をする勝将に、「ええ子な勝将には、これをやろう」と小さなボールを渡してきた

『バレーボール？』

「ボール遊び好きなん知っとるで～
これで遊びな」

「あい！」

「ほな、無理せん程度にな。また1ヶ月後においで
変なことあったり些細なことあったりしたら、遠慮せんとおいでな」

『ありがとうございます』

診察室を出て会計を済ませて来た道を戻る

すっかり疲れて眠ってしまっている勝将を抱っこしながら、家へ向かう

『勝将、喘息治ったらいっぱい遊ぼうな…』

絶対、喘息治してあげんとな