元殺し屋はヒーローになる14 (ページ50)

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「復興の邪魔するわけにはいかないからな」

『さーすがは委員長』

おおよその修繕は終わったけど、日常生活に戻るにはまだ時間がかかる
見送りの時間を取らせたら本末転倒だ

磯貝の言う通り邪魔はできない

「ま、黙って立ち去るのも」

「ヒーローっぽいか」

『漫画やアニメの見過ぎだっつーの』

切島と上鳴にボソリとツッコミ、緑が豊かな島を見つめる
一応、森とかは直しておいた
この島のいいところだからね

「この島ともお別れだね」

「せいせいするわ」

「とか言って、気に入ってたんじゃないの？」

「うっせぇぞ、赤髪」

カルマに言われて顔を背けた爆豪かっちゃんに、カルマはケラケラと笑う
汽笛が鳴り船がゆっくりと動く

「あのガキどもに挨拶せんでいいんかよ？」

爆豪かっちゃんがそう聞いてきて、緑谷は「言ってあげたいことはあったけど、でもいい。きっと伝わってると思うから」と緑谷は穏やかな笑顔でそう言った

「おーーい！おーーい！」

『あ』

「デク兄ちゃーん！青子姉ちゃーん！」

「バクゴー！」

「「みんなー！」」

真幌と活真の声に全員が笑顔で手を振る

「島の人たちを」

「守ってくれて」

「「ありがとう！」」

感謝の気持ちにみんなの顔が自然と緩む

「デク兄ちゃん、青子姉ちゃん、僕、強くなるね！
お父さんとお姉ちゃんを守れるくらい強くなるから！
そして、デク兄ちゃんや青子姉ちゃんやバクゴーさんみたいな、かっこいいヒーローに絶対なってみせる！」

やっぱ伝わってた
顔がふふっと笑っていると、爆豪かっちゃんも満更じゃないように笑顔を向けている

「……その言葉ぁ忘れんな、クソガキ」

「いーねー。ああいうの」

「だね」

「活真くーーん!!」

大きな声で活真に呼びかけた緑谷は、「キミは……！キミは、ヒーローになれる！」と大きな声で言った

その言葉に活真は目を見開き、息をするのも忘れる

世界一大好きな尊敬するヒーローからの言葉は、一瞬で世界をピカピカに変えてしまう

夢は紡がれていく

「雄英で待ってる！」

笑顔で手を振る緑谷と、小さく手を振る爆豪
大きく手をふり返す真幌の隣で活真はじっと船を見つめる

胸の奥で温め続けた夢が、目標に変わる瞬間

期待と希望にあどけない笑み

それは憧れのヒーローによく似ていた