元殺し屋はヒーローになる14 (ページ32)

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活真たちを抱えて走りながら障子は目印であるあの石造の祠へと向かう

その裏から島の裏側に抜けることができるのだ

「脱出経路を……ぐっ!!」

飛んできた爪弾に気づき、障子が腕で咄嗟に弾く

「ぐぅっ!!」

驚く活真たちを胸に抱き込み、連射してくる爪弾をまともに開け続けながら必死に守っていた障子だったが、ナインは無慈悲に衝撃波を放ち、障子を大きく弾き飛ばす

「ああっ！」

腕の中から転がり落ちた活真と真幌がハッと障子を見る
傷だらけの障子の後ろからナインがやってきていた

「に、逃げろ……！走れ…………！」

動けない障子が活真たちの盾になろうと複製腕を広げ必死に叫ぶが、2人は怯えて逃げられない

その間もナインが障子にトドメを刺そうと近づきながら指先を向ける

だがその時、ボロボロになりながらもやってきた耳郎が、イヤホンジャックをさした小型スピーカーから強烈な音の衝撃波をナインにお見舞いする

だが、ナインは直前で空気の壁を作って防御した

「2人とも、逃げて！」

「早く！」

叫ぶ耳郎、やってきた尾白もそう言いながらナインに向かっていく
その姿に障子もなんとか立ち上がり、オクトブローで攻撃しながら叫んだ

「行け！」

だがその直後、障子たちはナインの強力な衝撃波で吹き飛ばされ、城壁を突き破るほどの威力で衝突させられ、3人は瓦礫の中で気絶してしまった

土煙の奥から苦しみながらもナインが現れ、活真たちに近づいていく

その時だ

『死ーーーーーーねぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇえ!!!!!!』

「青子!!」

「青子姉ちゃん!!!」

自分の体の何倍もある岩をナインに向かって投げつけた青子は、それと同時に活真たちの前に立つ

だが、ナインはその岩を爪弾で粉々にしじわじわと近づいてくる

そんなナインにただただ怯えるしかない活真
自分たちを命懸けで守ってくれたヒーローたちがかなわなかった相手に、勇気はもうとっくに振り絞り尽くしてしまった

真幌はそんな活真を見て、活真がもっと小さかった頃を思い出した

気が弱くて優しい、すぐ泣く弟を守るのは自分の役目だ