元殺し屋はヒーローになる14 (ページ9)

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ゴリッとスライスの顔面を地面に何度も叩きつけ、気絶に追い込み、群れを成したカラスが現れたのと同時にスライスを投げ飛ばし、木に激突させる

やるからには徹底的に潰す

「青子！」

『いいから逃げろ！』

倒れている爆豪かっちゃんと緑谷を回収し、そのままスタコラさっさと逃げる

その日の晩、島の中心部は半壊状態で、いたるところに火の手が上がっていたのを、イトナの発明品で確認することができた

夜の訪れとともに降り出した雨が、火災の広がりを防いでくれたのは不幸中の幸いというわけでもあったが

島民たちは島で1番広く大きいサトウキビ製糖工場に避難していた
その電気室では、上鳴が発電機のコードを自分に繋ぎ放電し続けている

そのおかげで、工場には最低限の明かりが灯っていた
イトナもその手伝いにと発電機をいじくり回している

「2人とも、“個性”使いすぎだって……」

「いつ敵が来るかわかりません」

敵の襲撃に備えて、防災グッズを腕から出しながら背中から蓄電器を出す八百万ちゃん
上鳴は、放電し続けながら顔を上げて力強くサムズアップしてみせている

「ここで無理しなくていつするんだウェイ」

「ウェイウェイしてきたじゃん」

『イトナ、どう？』

「問題ない。もうソイツもいい」

『はいはい、上鳴。休憩休憩』

「ウェイ」

無理を続ければこいつらは死活問題だ
早々に終わらせることが最適である

『八百万ちゃん、必要最低限以上のものだからもう作らなくていいよ』

「ですが」

『無理と無茶は違う。いい？八百万ちゃんの“個性”は死活問題にも繋がるもの
たしかにいつ無理しなくていつするんだってことはわかる
けど、ここで死んだら元も子もない。まだ続けるなら、全力で止めるよ』

八百万ちゃんは、「わかりました…」と頷き、休むために耳郎ちゃんと一緒に発電機場から出た

イトナに後を任せて私は緑谷と爆豪かっちゃんのいる部屋に向かった

まだ目が覚めない2人は診療所の先生が処置していてくれてるが、傷口を塞ぐことしかできない

骨が持ってかれた爆豪かっちゃんの傷は治らない