元殺し屋はヒーローになる14 (ページ48)

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104話終了ページ48

その後、島のあちこちにも救助の手が届く

E組を筆頭に守っていた島民たちの元に相澤が

山の中でも八百万、青山が自衛隊に救助されていた

「焦凍ォーーー!!! 無事で何より!!!」

滝エリアでは、凍傷にならないようにと巻き付けられた毛布から起き上がった轟を見つけるや否や、温めようと抱き上げたエンデヴァーが安堵の雄叫びをあげていた

「……おろせ。俺は青子のところ」

「焦凍ォーー!!!」

暑苦しそうに顔を盛大にしかめ、困惑する轟の声をかき消すほどの雄叫びが響き渡る

だが問題はまだあったのだ

敵が捕まった
だが本命のナインは見つかっていない

(……何をする気だ、死柄木弔……)

ホークスを見下ろす一つの影
その影はニヤリと口角を上げたあと、スッとその影を消した

場所は変わり、那歩島本島の端にザッと花を踏みしめた者がいた

「やっぱり、生きていたんだね」

男はクスリと笑い、持っていた折り紙の折り鶴をフワフワと飛ばした

「…………お前は………」

「僕は煙夢(えんむ)。キミは…ナインだね」

息も絶え絶えの顔を上げたナインにニコリと微笑む男、煙夢は晴れ渡った空とは似つかわしくない顔つきだった

立ち上がることさえできない体で必死に可憐な花を押しつぶしながら這い上がってくるナインに、「往生際が悪いね」と顔つきを変えない煙夢

「いい夢は見れたかな？」

「これからだ。これから………」

「安心するといいよ。キミの夢はここで途絶える」

ナインは近づいてくる気配になけなしの力で上体を僅かに起こす
目の前にいる男が自分にとっての死神だと気づいたからだ

「キミみたいに、自分の理想を押し付けすぎる人間はこの世界にはいらないんだ」

男は爪弾を撃とうとするナインの手に指をゆっくりと絡めて、「怖がらないで、僕に身を委ねて」と甘い言葉を吐き散らした

「そう……そのまま」

トン、とナインの額に指を置いた煙夢は瞬く間に顔色が変わり、フッと意識を刈り取られた

「おやすみ、ナイン……永遠に」

パクリと食した男は残った亡骸に触れて消し去りそのまま姿を消した