元殺し屋はヒーローになる14 (ページ13)

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「でも、敵の目的はわかった」

「このコを連れて逃げればいいだけ………」

麗日と芦戸の言葉に轟が遮るように言った

「そう簡単にはいかねえ。相手は敵だ
この子を差し出さないと、島民を殺すとか言い出しかねねえ」

「じゃあ、どーすりゃいいんだよ」

みんなが困惑して気落ちする中、活真は「じゃあ」と震える声を出した

「僕を敵に渡して」

「「…え？」」

「殺さないって言ってた
僕の“個性”なんか無くなってもいい
それで島のみんなが救かるなら………」

幼い子の、悲壮な覚悟に俺たちは、絶句した
こー言う時、なんて言葉をかけてあげればいいんだろう

あまりに無謀な決意に俺たちは驚き、言葉を呑み込み、何も言えない

そんな覚悟をさせてしまった敵への義憤
窮地に陥ったままの現状を変える事ができない「力」を持つ自分たち

不甲斐なさと怒りが込み上がってくる

『そんなの…っ』

「だめだ！」

「デクくん!?」

「青子!!」

やってきた緑谷と青子に麗日と俺が立ち上がると、カルマと渚が後ろからやってきた

「2人とも、大丈夫なのかよ!?」

「活真の“個性”のおかげで、動けるまでは回復したんだけど」

『はぁ…はァ…』

「青子の脇腹はどうにもならなくて…」

「今は…薬で騙してる感じで…」

泣き出しそうな渚の頭を引き寄せ、自分の胸の中に閉じ込めるようにした青子は、汗が滲む顔で微笑んだ

『大丈夫だから』、『心配しなくていい』

そう、言ってるように見えた

「細胞の活性化………新陳代謝の促進…ドーピング的効果すらある………
キミのおかげで3人がここまで回復できた」

竹林が驚きながらメガネをあげ、「キミのおかげだよ」と再度活真にそう言った

緑谷も元気だよと言わんばかりにガッツポーズをして活真に微笑む

「すごい“個性”だよ、活真くん。ありがとう…」

『動けるようになった』

「………デク兄ちゃん…青子姉ちゃん…」

安堵と自分が役に立てた嬉しさで活真の目が潤み、2人は優しくけれど力強く笑ってみせた

「キミが怖い思いすることなんかない」

『なーんのために私たちがいるの？』