9話 夢の時 ページ44
その日、夢を見た
小さい頃の俺と岩ちゃん、そして“ユキちゃん”だ
「ユキちゃんは、俺のお嫁さんになる!」
『うんっ』
お互いの小指を絡め合わせてそんな約束をした
彼女が引っ越すと聞いて、泣きじゃくり、行かないでと叫んだあの日、目元が赤くなるのを構わず、彼女にそう言った
目を潤ませた大きな瞳からは、今にも涙が溢れそうなのに、それを必死に耐える彼女に習って俺も必死に耐えてた
綺麗な桜色の瞳が揺れて、俺との約束に想いを馳せたような気がして、彼女は一粒の涙を流しながら大きく頷いてくれていた
なんで、忘れてしまっていたんだろう
あれだけ、あれだけ好きだった幼馴染を俺は今日まで忘れていた
合わせる顔がない、と言えばそうなのかもしれない
でも、あの子はそんなこと言わない
俺のことをずっと、ずっと待っててくれた
そして今でも、俺のことを好きでいてくれている
伝えるんだ
そう思った
今の自分の中にある、彼女への想いを
正直に、真っ直ぐに、伝えなければならないと思った
優しくて、かわいらしくて、本当に花のような子を、誰かに取られないうちに
「起きたか、及川」
「うん」
一足先に走り込みに行っていた岩ちゃんが戻ってきて、開け放ったカーテンから朝日が差し込んでいる
俺のスッキリした顔に岩ちゃんは、「遅ぇんだよ」と呟いた
「桜子、好きでいてくれてるよね?」
「…当たり前だろ」
「…だよね」
「いつ伝えるんだ?」
「んー…祭りの時」
向こうに戻ってすぐにあるお祭り
その時に告白しよう
善は急げ
4日というものは早く、双子のバレーの練習に、北くんとの3日間のお出かけ
桜子は本当に楽しそうにしていて、俺もそんな桜子を見ていてとても楽しかった
双子と北くんに再度、桜子のことを恋愛的に好きなのかと問うてみれば、双子は「姉のような人」、北くんは「妹であり、親友だ」と返してきた
友情的には好きであるが、恋愛的にはそうではない
ただ言えるのは、3人とも桜子のことを大切にしていること
「…不幸せにしたら殺すからな」
「幸せにしてあげてください」
「…桜子のこと、任せた」
3人してそんなこと言う
幸せにするよ、絶対
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らいむ - 主さんお疲れ様です!毎日投稿を楽しみにしてました。これからも体調をくずされませんようお元気でお過ごしください (2021年6月7日 16時) (レス) id: c102567b5d (このIDを非表示/違反報告)
睡蓮。(プロフ) - サッカーバカさん» 間違えてなくて良かったです!今読み途中ですが凄く面白いです!これからも頑張ってください!! (2021年5月8日 16時) (レス) id: ccbe99882f (このIDを非表示/違反報告)
サッカーバカ(プロフ) - 睡蓮。さん» コメントありがとうございます!兵庫にあるんですが何を勘違いしたのか大阪と書いてるようです!また修正しておきます!!!見逃し指摘ありがとうございます!!! (2021年5月8日 16時) (レス) id: 7487ed3f06 (このIDを非表示/違反報告)
睡蓮。(プロフ) - 初めまして、凄く面白いので読ませてもらっています。失礼ですが、10話のところで稲荷崎が大阪にあることになっていますが、稲荷崎は兵庫県にあるんじゃないでしょうか?間違っていたら大変申し訳ございません>< (2021年5月8日 16時) (レス) id: ccbe99882f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:サッカーバカ | 作成日時:2020年11月20日 23時