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6-5 ページ34

「これ以上悪い状況なんて、考えられないね」







言い合いをしている元夫婦に一人息子のその言葉で、空気が一気に冷たくなった
俺とピュアはもう震えて飯どころではなく無言で、下を向いてダラダラ汗を流す








「ごめんなさい…マイケル、ポテトもっとどう?」

「僕もう寝るよ、おやすみ」

「はい、おやすみ」









席を立ったマイケルがジェシカの頬にキスをし、マックスの頬にもキスをした
まだ震えてる俺とピュアは小刻みにプルプル震えている。ショーターが「いや、ホントに大丈夫か?」と聞いてきても俺とピュアは口を固く閉ざす








「ねえねえ」

『?』

「この子、なんて名前なの?」

『……ピュア、だ』

「かわいいなあ…お兄ちゃんの友達?」

『…あぁ』

「おやすみ、ピュア」

「ピュア〜」











ピュアを撫でたマイケルがどこか、無邪気な顔をして俺の後を追いかけてくるみんなと似ていた
そんなマイケルの頭を撫でて『…おやすみ』と声をかけて見送る





震えが収まって、ピュアがくあっと大きなあくびをした時、「おばさん」というアッシュの声がした
俺とピュアは震えが止まっていた体がビクリと揺れてまた震える










「おーばーさん!」

「それって、あたしのこと?」

「他に誰がいるのさ?マスタード取ってくんない?おばさん」









アッシュのその口の悪さと皮肉さのレベルは俺でも引くぐらいで、俺とピュアは抱き合って声にならない叫びを再び上げる





俺とピュアがポトポトと汗を流し、ピュアはさらに涙目になって「ピュア…」と怯えた声を上げ爪を立てている
ジェシカがマスタードを取ってカツカツとかかとを鳴らして歩いてくるのにボワッとピュアが毛を逆立てて「ピュア〜!!!」と泣き叫ぶ。俺も叫びたい











「いいタマね、あんた。あの子のことで私を責めてるつもり?お生憎様。あんたみたいなチンピラに口出しされるいわれはないわ」








部屋を出て行くのを見ても俺とピュアはまだ震える
俺たちはよく生き残った。よく頑張った。褒めてくれ…










「へっ、いいタマはお互い様じゃねーかよ」

「………」

「ほんっとにすまん」

「ふん、どいつもこいつも親なんてのは碌な奴がいねーな。子どもは親を選んで生まれてくるわけじゃねえってことわかってんのかよ。ハズレだからって取り替えてくれってわけにはいかねーんだぜ」

「よーく聞いとけよ」

「ハイ」

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作者名:サッカーバカ | 作成日時:2022年1月15日 11時

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