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「腹減ったー。なんか食いもん」
ショーターが嘆く中、耳を掠めたほんの小さな何かが擦れる音と足音に俺はマックスを押し飛ばした
俺の異変に気づきたのか、はたまた同じく音を拾ったのか、ピュアは英二から飛び退いて俺の横に立つと「グルルルルルルルル…」と唸り声を出して警戒心を剥き出しにする
「ピュア?」
『…………………』
森の奥からゆらゆらと揺れている人工の光をじっと見て体勢を低くし、はぁー…と息を吐いて噛み付けるように準備をしていると現れたのは懐中電灯を持ったホームレスの男だった
「なんだあ、お前らは?」
「ちょっと聞きたいんだけど、ロス・アンジェルスへはどういったらいいのかな?」
「からかってんのか、あんた。ロスはここじゃねえか」
「「ここ!?」」
アッシュとマックスの声にピュアは「ピュア」と英二の元に戻り足に擦り寄っている
ここがロス・アンジェルスだということに驚いている2人は、俺に振り返り「ここロス・アンジェルスだって」と言う。聞いてたよ
見晴らしのいい丘へと移動して行くと、そこには絶景が広がっていた
「わあ」
「こりゃすごい」
「うひょー!絶景!!」
「わあ、綺麗だなぁ」
「ピュア〜!!」
目を輝かせているピュアは興奮気味に鳴いていると、英二が「綺麗だね、ピュア」と一緒に楽しんでいる
それを見て、俺も絶景に目を向ける。こんなに綺麗な景色を、俺だけ見てもいいのだろうか
(みんなに、見せたかった)
美味い飯なんていらない
ただ、みんなと一緒にまた会えたら…
だが、死んだ人間は戻らない
そうですよね
先生…
ーーーーー
ーーー
ー
ヤシの木が立ち並ぶロス・アンジェルス街路。トラックは青い空の下舗装されたアスファルトの道路を駆け抜けている中、伊部はカメラを構えて景色や英二を撮影している
青い空と青い海、まさに常夏の景色
さらにそこにナイスバディなお姉さんが相まって、ショーターは絶賛ナンパ中だ
「ヘーイカーノジョー!インスタやってる?アカウント教えてくんなーい?」
めげずにナンパしているショーターの横で『……暑い…』と項垂れている俺と「ピュー…」とぐったりするピュア
そう、俺たちは暑いのが苦手だ。乾燥や冬には強いが、暑さだけはどうにも耐えれない
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作者名:サッカーバカ | 作成日時:2022年1月15日 11時