6話 ロス・アンジェルス ページ30
キキィッとトラックが停まり、その反動にピュアが目を開けた
キョロキョロと頭を左右に振った後、俺が荷台から降りようとしたのに気づいたのか、ドンッと飛び込んできて俺はズルリと足を滑らせた
『あ』
「「アレン!?」」
ショーターと英二が声を上げて俺の首根っこを掴み、グイッと引き上げてきたが首が閉まって『うぐえ』というヒキガエルを潰したような声を出した
「ピュア!」
『…ピュア、頼むから…飛びつくな…危ないから』
ペロペロと舐めてくるピュアを撫でていると、「ピュア〜」と嬉しそうに擦り寄ってくる。あたたかい…あたたかいんだ
『…………………』
「ピュア〜ッ!」
ゴロゴロと喉を鳴らして撫でろとせがんでくる。きっと、みんながいたらまたピュアを撫でて可愛がるんだろう
あんな頃でも、ピュアは覚えているんだろうか…血と硝煙の匂いしかしなかった、あの頃を
『…………お前は、いいな…』
「ピュ?」
『……………………自由で』
パタパタと尻尾を動かしているピュアを優しく撫でて荷台から降りると、ピュアもぴょこっと飛び降りる
夜道を見た後、目を静かに閉じてまた開きじっと暗闇を見つめる
「っかしいなー。この辺のはずなんだけどなー」
「ほんとかよ。道、間違えたんじゃねーの?」
降りてきたマックスがスマホの画面を見ながら俺の隣に立ち、「なあ、アレン」とスマホの画面を見せてくる
デジタル化した地図を見せられて「今どこにいるかわかるか?」と言われて俺はパチクリとして地図を凝視した
「アレンに聞くなよ…スマホ触ったことないんだから」
「え!? マジか…」
「触っても無線だぜ?」
「おいおい、何年前だよ…」
アッシュが助手席のドアを開けて言い、マックスもありえないと言う顔で俺を見てくる。スマホとやらはそんなに便利なのか?無線さえあればいいんじゃないのか?
いや、五体満足でいいんじゃないのか?
「あーあ、もう車乗んのやだぜ。ケツが石みてえだ」
「ほんと…もう1週間近く乗ってるんだもん。ね〜、ピュア」
「ピュア〜!」
ピュアを抱き上げた英二が同意を求めると元気に鳴いたピュアに英二は「へへへっ」と笑っている
マックスに見せてもらったスマホに表示されている地図はケープコッドからLAにまで届いている。もうこの辺りなんじゃないか?
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作者名:サッカーバカ | 作成日時:2022年1月15日 11時