5話 心の距離 ページ20
夜…ベッドのある部屋で眠っているマックスと伊部を横目に地べたに毛布を敷き詰めて寝ている3人を見て静かに部屋を出た
ペタペタと足音を立てないように歩いて外に出て、あたりが草むらばかりの道を歩いて、歩いて、歩いて…崖の近くまできた
『………………………』
その場に腰を下ろして海を眺めその海と同じ色の空を見て、このアメリカならどこでも見れる星空を見る
都会とは違って灯りが少ないから夜空は満天の星だった
『オーマダーリン、オーマダーリン、オーマダーリンクレメンターイン……』
“オーマダーリン！オーマダーリン！”
“オーマダーリンクレメンターイン！”
“叫ぶなバカ！うるせえ!!”
“歌下手くそなんだよ”
“すっげぇ批評!! アレン、歌ってくれよ〜”
“アレン〜…子守唄でもいいからよ〜”
“……………やだ”
“アレンーッ！”
『…オーマダーリン、オーマダーリンクレメンターイン』
懐かしいとか、悲しいとか、そんなの感じなかった
ただただ、胸の中に空いたぽっかりとした穴をどう埋めればいいのかわからず、みんなに歌ってくれとせがまれたあの歌を口ずさんで穴を埋めるしかなかった
『…………………』
膝を抱えてうずくまり、小さくなって目を閉じる
眠れない、眠ったらまたあの夢を見る。眠りたく無い、眠ったらまたあの夢を見るんだ。もう見たくない、あんな夢
どれぐらい時間が経とうと、どれぐらい月日が経とうと、俺はアンバーハイエナだ。それが変わることなんて絶対にない
『……………？』
ふと顔を上げれば、海面から覗き出したのは太陽だった
ああ、なんて…
孤独の夜明けなのだろう
アッシュside
「ってて…チッ」
オーサーたちによって撃たれた自分の肩の痛みを我慢しながら肩慣らしをするために酒瓶を数本持って外に出てきた俺は、まだ早朝の静かな草原を歩いていた
肌寒さにパーカーひとつと拳銃と弾を持って出てきた俺の視線の先にいたのは、起きた時にいなかったアレンだった
遥か遠くからでもわかる、キラキラとした銀髪の髪の毛が揺れている
どこか遠くを見ているアレンに手を伸ばしたが、それが届くはずもなく、まるで俺と今のアレンの心の距離を表しているようで胸がずきんと痛くなった
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作者名：サッカーバカ
| 作成日時：2022年1月15日 11時
