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トラックでダイナーという店まできた俺たち。ここはアッシュの父親が経営するバーらしい。俺は酒の匂いに眉根を寄せていたのでアッシュが外で待ってろと言ってきた
なので、俺は待機だ。外で
『(クンクン』
鼻がかすかな匂いに反応し、目を開ける
潮の風に混じって何か匂った。この匂いは、なんだろう
甘い、香りがする
「アレン!」
『!』
鋭い声が耳を突き刺すように響いてきた。その声の主はアッシュで俺の手首を掴んでいるのはショーター、心配そうに見ているのは英二だった
「外で待ってろとは言ったが、勝手に歩き回っていいとは言ってねえ」
『……………』
「アレン、大丈夫か?」
「なにかあった?」
すーっとする甘い香り。その匂いの方向には何があるんだろうか
喉が、腹が、心臓が、熱を持っていく
「アレン?」
『……………………なんでも、ない』
この熱さはきっと、忘れた方がいい
こいつらに向けていい、熱さじゃない
“アレンは…いいな…強いから”
“俺、いつかなるよ!アレンに背中を任せてもらえるぐらい強い…立派なハイエナに!!”
(…ならなくて、いい…みんなは、そのままで…汚いのは)
俺だけでいい
ーーーーー
ーーー
ー
「あそこが俺と兄貴の生まれた家さ。俺とグリフィンは母親が違うんだ」
アッシュとアッシュの兄であるグリフィンという人が住んでいた家に向かう道中、アッシュは自分の身の上話をし始めた
俺は深くは聞かなかった。なんとなく、そう思った
「アレンってば!」
『…あ』
「キミ、ボーッとしすぎだよ?中に入らないのかい?」
『…あ、あぁ…入る』
英二に呼ばれて後に続いて中に入ると、家具には大きなシーツがかけられていた
長年も誰にも使われていないその様子を見る限り、アッシュの父親もここには帰ってきていないのだろう
「英二、後ろの引き出しからローソク出してくれ」
「うん」
引き出しからローソクを取り出すために手を引いた英二は、引き出しから飛び出してきたネズミに「きゃあああっ!」と叫んでショーターにしがみついた
「な、なんだよネズミくらいで!びっくりすんじゃねーか!」
「ごめん…」
『……………食って、いいか?』
「「食うなッ!」」
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作者名:サッカーバカ | 作成日時:2022年1月15日 11時