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死とはなんなんだろうか
それは甘く誘惑に満ちたものなのか
それとも、暗闇を彷徨うような冷たい世界なのか
はたまた…自分の罪を背負い地獄の中を歩き続けるものなのか
死後の世界など俺にはわからない
だけど、誰もが死んだその先を俺はいつ見るのか、遠くない未来であることは確かだった
「オーマダーリン、オーマダーリン、クレメンターイン…」
ふと耳を掠めたその歌声に俺はなんの曲だったか思い出した。「いとしのクレメンタイン」だ。どこで聞いたのか、もう思い出せないが
そんな歌声に苛立ちを持つのは
「……うるっせーなぁ、なんで同じとこばっか歌ってんだよ！」
ショーターのサングラスを借りて助手席に座っているアッシュだった。ちなみに俺は、幌の隙間から外の景色を眺めているだけだった
「いや、悪ィな。その先を知らねえんだ」
「チッ」
「随分カリカリしてんなぁ。家に帰るのは何年ぶりだ？」
「…………」
「そうやって拗ねるとこは、お前も年相応…子どもっぽいなあ」
「なんだと!?」
マックスにつっかかったアッシュに確かに子どもっぽいと思った
「おおっとっと。この先はどう行きゃいいんだ？」
「右だ、右！」
「オーマダーリン、クレメンターイン」
「うるせえなあっ、もう！」
なんというか、すごく…アッシュが遊ばれている気がする
トラックが丘の上で停まったのを確認して幌の間から降りるも、眼下には海と緑の豊かな田舎があった
穀物の匂いと潮風の匂い、緑の匂いがする。いい匂いだ
「ふぁっ…おはよう、アレン」
『…おはよう、英二』
大きなあくびをしながら降りてきた英二は、ぐっと体を伸ばして「いいところだなあ」と言いながら風景を見ている。後ろにいるショーターも頷き「ここがニューヨークから500キロなんてちょっと信じられねーな」と言う
『………』
“俺はいつか、広大な草原を駆け抜けてみたい!!”
“夢見るだけならまだしも、お前なにガキみたいなことを”
“うるせぇ！子どもなんだからいいだろ！”
“それなら、ライ麦畑を走りたいな〜”
“食えねえじゃん”
“食わねえよ”
“なあ、アレンも緑の草原を走りたいよな!!”
『……………走りたいよ…何も、考えずに』
ただ、走ってみたいよ
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作者名：サッカーバカ
| 作成日時：2022年1月15日 11時
