4-3 ページ15
『…なんの、疑いもなく…俺たちは、殺した』
「………それは、誰に命令された?」
『……………先生』
「先生?」
『……………………俺たち、ハイエナの…………ハイエナ全員の、先生』
「先生…どんな人だ?」
『……………………いつも、笑ってる…それから』
アレンは琥珀の瞳を一瞬揺らすと、前を見てはっきりと言った
『……人を、殺したがる人』
アレンの口から聞いたその言葉に息を呑み、俺たちはさらに話を聞くために耳を傾けアレンの話に集中した
『…………イラクの戦争後、戻った俺たちは、次の紛争に、連れてかれた…半数のハイエナは、麻薬を打たれた』
「は…」
『………死んでも、替えはいくらでも、いる…からと』
「そんなことが…」
『……………………俺の、仲間も、麻薬で、死んだ…粗悪品、だったと、聞いた』
「……………………」
『………俺は、その後…追放された…』
「逃げなかったのか?」
『………………逃げ、る?』
「その状況を、嫌だと思わなかったのか?」
おっさんが聞くとアレンは『……………考えたことも、ない』と言う
『…………それが、俺の当たり前だった』
俺たちの当たり前と、アレンの当たり前
それはどちらともに当たり前と言ってもいいのかわからない
ただ言えるのは、アレンの当たり前は俺たちにとっては異常であること
アレンside
痛い、辛い、苦しい、そんなもの。感じ取れなくなったのはいつだったのかも忘れた
ただひたすらに体に走るその電流のようなものが痛みであり、胸が苦しくなって涙が流れるのが辛さであり、息ができなくて張り裂けそうになるのが苦しみだと言うことを、俺は先生から教えられた
「いい?アレン…あなたは、人を殺し続けなさい。それがあなたの、存在意義なのです」
『…はい、先生』
「アレン、あなたはアンバーハイエナなのです。いつなんどき、自分がどのような立場なのか常に考えなさい」
『…はい、先生』
「常に考えなさい。自分が何者なのか」
(…はい、先生)
ハンドルを握り直し『…他に、聞くことは?』と一瞥した
助手席に座っている、マックスは俺を見て息を呑み「なら」と口を開いた
「…なにか言いたいことはあるか?自分が殺した人間へ」
『…………………………………死のその先に、何があるのか、知りたい』
37人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:サッカーバカ | 作成日時:2022年1月15日 11時