2-4 ページ2
ー夜ー
『(ヒクヒク』
夜の匂いがする。手すりにもたれて目を閉じて鼻がヒクヒクさせながらアッシュたちが来るのを待つ
夜に話があると言うから来てみたはいいが、一向に来ないのだ
(遅い…)
床に座って待っていること5分。アッシュたちがやってきた
俺を見つけると、3人は「待たせた」と言うではないか。本当に待ったぞ
「アッシュ、なんの話をするんだ?」
「…これから襲撃する店についてだ」
「…店?」
「あぁ。店名はクラブ・コッド」
「クラブ・コッド?」
「魚料理の店さ」
そこにゴルツィネがくるというアッシュになぜ確信が持てるのかなど聞く必要もないのだろう
俺だってそんなの聞かなくてもわかる
「ゴルツィネが、わざわざ魚食いに来るのか?」
「食わせるのは魚だけじゃない。別の生き物も売るんだ」
「?」
『……………人間』
「え?」
アッシュが話すよりも先に俺が話すと、3人は目をこちらに向ける
俺はその視線に気づかないフリをして目を閉じた
“い"、やだぁ!!! いやぁぁぁぁぁぁあああ!!!”
“ひっ…イザベルぅ…”
“い"っ!!!?”
“………………俺が”
“アレン、ダメだよ!!”
“…………俺が、そいつらの分も、相手する、から…だから、だから”
泣き叫ぶ声も、痛いと叫ぶ声も、得たくもないモノに不快を感じて叫ぶ声も、今でも耳に焼き付いて離れることがなかった
「…アレン?」
『…………子ども、だろ』
「え?あ、あぁ…そこはディノの経営する店で、趣味と実益を兼ねた秘密クラブだ。商品は主に子ども
客は大抵社会的地位のある連中ばかり。だから当然、秘密厳守だ。その分ディノは連中の弱味を握れることになる」
「…ちっ、反吐が出るぜ」
「奴は商品の供給源として、俺みたいに家出してフラついてるガキを捕まえる。子どもは逃げられないように麻薬漬けにされて、2、3年しか生きられない
それだけ秘密が守られるってわけさ」
「…ひどすぎる」
世の中、理不尽だと俺が殺してきた奴らはいつも嘆いていた。ならば、お前たちが虐げてきた奴らはどうなるんだ…
その理不尽に負けて苦しめられたんじゃないのか?
「で、奴がそこへ?」
「決まって毎月15日にな」
『………………』
李王龍の、あの言葉
本当ならあの店には
37人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:サッカーバカ | 作成日時:2022年1月15日 11時