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「で、なんで雨の中に?」
『特に何も理由はないですよ』
「絶対嘘だね。今理由もなしに雨に打たれる人なんていない」
ぺちゃっと脱ぎ捨てたワイシャツが水たまりを作るように床に水を垂らしていき、私はその場に服を落とした
『ホントに、それだけです』
「…今は、そー言うことにしといてあげる」
スカートを脱ぎ捨て、下着までずぶ濡れになってしまった
『及川さん』
「んー?」
『下着も濡れてました』
「さすがに俺も下着は常備してないかなっ!?」
仕方ない。上から履いてしまおう
ありがたくズボンを履かしてもらい、私はカーテンを開けると、ビクリと肩を揺らした及川さん
濡れた服をビニール袋に入れていると、「下着は…?」と聞きにくそうに聞いてきた及川さんに『ちゃんと履いてます』と返す
『………………ふぅ…』
「…?」
袋を縛り、カバンの中に押し込んでいると、テーブルに置いてあったスマホが慌ただしく動き始めた
どうやら、あのメッセージを見てE組が騒いでいるのだろう
『…………』
スマホの画面を見てみれば、鬼のようにメッセージが個人として送られてきた
件数で言えば、合わせて100は超えている
《件数が200件を超えました》
『怖』
1分もせず200を超える件数に引きつつ、グループのラインだけ開けると、私の既読がついたのか、全員が鬼のようにメッセージを送ってきた
大丈夫だ、守るから、安心しろ、いろんな文字が飛び交っていて、励ましてくれたり、守ると宣言してくれたり…温かい言葉が飛び交っている
嬉しくて、優しいみんなの気持ちに浸りすぎて、あの1年でここまで甘えてしまうようになるなんて…
『…………』
《何か、お返ししますか?》
『ん…ちょっと待って』
ぐすっと鼻をすすって、涙がこぼれ落ちそうなのをグッと堪えて、上を向いて涙を流さないように我慢する
本当にうちのクラスは…お人好しが多すぎる
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環希(プロフ) - コメント失礼致します。飛雄ですよ!これからも頑張ってください。 (2020年11月20日 0時) (レス) id: 33d5659616 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:サッカーバカ | 作成日時:2020年11月15日 19時