13-2 ページ44
及川side
「金田一〜、部活のことなんだけど」
1時間目が終わった休み時間
1年の教室にいる金田一のクラスに向かい、部活のことを伝えると、いるはずのあの子がいない
「金田一、都笑ちゃんは?」
「え、雪霧…ですか?来てませんけど」
「え、きてない?」
「はい。朝から」
いや、一緒に登校してきたはずだし、正門の前で先に歩いて行くのを視界の端で見た
「及川さん、雪霧と来たんですか?」
「正門前までは…」
都笑ちゃん、どこ行ったんだ
都笑side
ザァザァとザザぶりの雨の中、体育館裏の場所で雨に打たれながら体が冷え切って行くのがわかる
なぜ震えているのか、それは恐怖から来るものなのか寒さからくるものなのか、今となってはそれはどちらでも良い
とにかく今は、雨に打たれて頭の中を真っ白にしたい
『へっくし…』
ずびっと鼻水が垂れそうになって、鼻をすすれば、目の前に影が刺した
『……………及川さん』
「何してんの、こんなずぶ濡れで」
呆れたのか、なんなのか、少し冷たい瞳で見下ろしてくる及川さんに、『…雨に打たれたかっただけです』と、目を逸らした
「…はぁ」
『?』
「俺、都笑ちゃん探すのに2時間目サボったわけだし、俺も都笑ちゃんもずぶ濡れだし、ほら、立って」
グイッと腕を掴まれて立たされて、持っていたであろうタオルを被せられて、「保健室」と言って及川さんは歩いて行く
ガラリと開けられた保健室のドア
中にいるはずの保険医の先生はどうやら今は外に出ているらしく、及川さんはすぐにタオルや必要なものを取り出していった
「体操服は?」
『…ロッカー、の…中に』
「んじゃ、俺の使っていいから」
『えっ…』
「今授業中だし、そんなずぶ濡れで教室に行ったら、何言われるかわかんないでしょ」
押し付けられた体操服は、シトラスの匂いがついていて少しだけ安心するような気持ちになる
でも、今は何も考えたくない
及川さんは「見ないようにするから」とカーテンの奥に私を押し込んだ
56人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
環希(プロフ) - コメント失礼致します。飛雄ですよ!これからも頑張ってください。 (2020年11月20日 0時) (レス) id: 33d5659616 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:サッカーバカ | 作成日時:2020年11月15日 19時