青葉城西の1人のAssassin (ページ5)

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1話バレーの時間ページ5

バン、バン、と体育館にスパイクが決まる音がよく聞こえてくる体育館裏
サボりのスポットとしては、なかなかのいい場所

「あれ、雪霧ちゃん？」

『…………あ、この間の』

「絶対今俺のこと忘れてたよね!?」

『名前知らないし』

「聞かなかったんだよね!?」

ツッコミが激しい人だなぁ…見る限り、年上って感じ…3年…いや

「おい、及川なにして…雪霧」

『この間の…えーと』

「岩泉だ」

『あ、そう。バレー部のエースだ』

「ねえ、及川さんは!? 及川さん知ってる!?」

『………同期にそんな人いたっけ…』

「俺3年生!!」

え、まじで？
絶対嫌だな…絡みたくない

「雪霧、お前ここで何してるんだ？」

『猫と戯れてる』

「猫？」

『野良猫』

ニャーと鳴いて擦り寄ってくる猫の喉を撫でると、ゴロゴロと喉を鳴らしてさらに擦り寄ってくる

「雪霧ちゃん、猫好きなの？」

『まぁね』

「人懐っこいな」

岩泉さんの方に擦り寄った猫に、「俺も俺も～」と手を出した及川さんに、猫は「フシャーッ」と爪を立てて引っ掻いた

「なんでっ!?」

「クソ川がクソだってわかったんだろ」

「ひどいよ、岩ちゃん!!
それ岩ちゃんが思ってることでしょ!?」

(バカの悪ノリだ…)

ギャンギャン吠える及川さんと、ツーンとする岩泉さんのこのやりとり、E組でじゃ見れなかったような光景だ

「及川さん、トス練習……雪霧」

『やっほー、金田一』

「お前何してんの？」

『猫と戯れてる』

「お前今日、生活指導の先生に呼び出されてたはずじゃ…」

『ほっときゃいいよ。怒鳴り散らして、生徒を見ない人間なんてさ』

ケタケタ笑ってやれば、「雪霧!!」と顔を赤くさせて歩いてくるのは生活指導の先生

「めっちゃオコじゃん!!」

「ああなったら、やばいって噂だぞ」

及川さん、岩泉さんの声を耳にして、私はじっと先生を見つめた

揺れ動き、不規則な“意識の波長”

そこから生まれる

「お前、呼び出した時間通りに」

決定的な意識の波長

ﾊﾟｧｧｧｱｧﾝ

「「!!?」」

「あ…がっ………！」

『…………………(ｸｽｯ』