青葉城西の1人のAssassin (ページ36)

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及川side

月明かりで少し照らされた外廊下
それをゆっくりと懐中電灯で垂らしながら歩いていく

「ね、ねぇ岩ちゃん、変なの出たらちゃんと守ってよね？」

「なんで俺がてめぇを守るんだ？」

「だって岩ちゃんなら襲われても損害ないでしょ？」

「てめェを差し出す準備はしとく」

廊下を歩いていると、前を歩き懐中電灯を照らす赤葦くんが、「あ」とピタリと立ち止まる

「え、なに？」

「赤葦？」

「あれ…」

赤葦くんが指さした方向には、うっすらと黒い影が見えた

「え、なになに？」

「え、怖いんだけど」

それはゆっくりと動くとこちらを向き、真っ白な歯を見せるように笑った

「「ぎゃーーーーーーーー!!!」」

この世のものとは思えないほどの生き物に俺たちは廊下を慌ただしく駆け出し、階段を登って近くにあった空き教室になだれ込んだ

「な、なにあれ！」

「怖すぎる…」

「都笑、大丈夫か？」

『あれ絶対狭間じゃん、絶対そうだよ。もうやだ…帰りたい』

都笑ちゃんがブツブツと何か言っているのに対し、「まずいですね…」と赤葦くんが言った

「何がまずいんだ、赤葦」

「都笑は大のお化け嫌いです」

「かわいいっ」

「黙ってろ」

「加えて、ガチで脅かしにくる」

「つまり」

「うっかり相手に怪我させる可能性がある」

「全力でやべぇな」

ガチで震えてる都笑ちゃんに、「都笑、立てる？」と赤葦くんが聞けば、都笑ちゃんは首が取れるんじゃないっていうぐらいに横に振ってる

「…じゃあ、どうしたらいいの？」

『…………………ん』

「はいはい」

両腕を広げて抱っこされるのを待ち、ふんわりと持ち上げられた都笑ちゃんは、赤葦くんに抱きつく

「都笑ちゃん、俺も抱っこしてあげるよ～」

「いいから行くぞ」

「4階まであと2階も上がらないといけないの？」

「とにかくいきましょう」

ガラッと赤葦くんが開けたドアの前に、「私メリーさん」と言って血みどろの女の子が立ってた

「「……………」」

「私メリーさん」

「「ぎゃ～～～～～～～～ッッッッ」」