5-2 ページ18
パシンッ、と乾いた音がグラウンドの隅から響き、ハラハラと落ちてくる木の葉を見て、一休みする
『はぁ…』
晩御飯を食べているであろうバレー部のみんなは、私がいないことなどきっと気づいていない
気づいているのはE組のみんなだけだろう
『はぁ、はぁ…』
持ってきておいた飲み物を口に含み、少し飲んだあと、口から垂れた水を拭い取る
『っくし…』
ずびっと鼻から垂れそうになる鼻水を堪えていると、「馬鹿じゃん」と頭に優しくて甘くいい匂いがかぶさってきた
それは黒くてまだ温もりのあるカーディガン
『…カルマ』
「汗かいてるのにちゃんと拭かないのは、馬鹿じゃん」
『……』
「…また、思い出してたの?」
カルマに言われて、小さく肩が跳ねた
「…………今日はどうすんの?」
『……………』
「……あったかいミルクティー飲もうよ。それから、星の観察してさ、いつものようにしてたらいいじゃん」
カルマに言われて、私は小さく頷き、校舎の方へ歩き出した
及川side
「あれ、君は…」
「ん?」
キッチンに飲み物を取りに来てみれば、真っ赤な髪の毛で琥珀の瞳が俺を見つめていた
「俺は赤羽カルマ。磯貝と同じ中学だったんだよ」
「ああ、磯貝くんの…で、何してんの?」
あっためられているのはお湯、そしてその近くには二つのマグカップ
「ミルクティー作ってる。甘めの味にして飲ませたら落ち着くんだ
特に…今日みたいに気分が沈んでる日はね」
「?」
「ああ、こっちの話。気にしなくていいよ」
「…?」
「カルマ!都笑、さっきから戻してて…」
「うわっ、まじ?今日は重症じゃん…」
カチッと火を止めたカルマくんは、「あ、それあげるよ」とマグカップを指さした
「都笑ちゃん、なんかあったの?」
「ただの体調不良。気にしなくていいから」
ヒラヒラと手を振って、廊下を走っていくカルマくんともう1人の男の子を見送り、俺は沸いたお湯をマグカップに注いだ
56人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
環希(プロフ) - コメント失礼致します。飛雄ですよ!これからも頑張ってください。 (2020年11月20日 0時) (レス) id: 33d5659616 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:サッカーバカ | 作成日時:2020年11月15日 19時