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「…スパイカーの前の壁を切り開く…その為のセッターだ」
『………』
タイムをもらい、ほんの少しの時間だけの作戦会議…
「…いいか、打ち抜けないならかわすぞ
お前のありったけの運動能力と反射神経で俺のトスを打て」
(なのか?)
わかってないし、取り敢えずやってみるの域ではないけど…この2人なら、多分やりそう
.
.
.
と、思ってた、のに……………
「お前反応速いんだからもっとこう、バッ!っとこいよ、グワッ!っと!」
「「バッ!」なのか、「グワッ!」なのか、どっちだ!!!」
「重要なのはそこじゃねぇよ!!」
『影山、日向、ストップ…』
「「!」」
「それじゃあ、中学の時と同じだよ」
『うん…』
菅原さんの隣で俺が頷けば、影山はむむむっと口をもごもごとした
「日向は機動力に優れてる、反射にスピード、ついでにバネもある。慣れれば速い攻撃だって」
『違う』
「?」
『日向のその“すばしっこさ”の武器を影山のトスが殺してるんだ』
「!」
『日向には技術も経験もないし、中学でお前にギリギリ合わせてくれてたっていう優秀なプレイヤーとは違う
でも、素材はピカイチだ。磨けば光る原石みたいな感じ…わかるか?』
「…………なんと、なく…」
(わかってなさそう)
眉を寄せてぐぬぬっ…と唸る影山に、俺はもう少しわかりやすい表現を考えた
「…お前の腕があったらさ、なんつーか、もっと日向の持ち味っていうか、才能っていうか、そういうのもっとこう…えーっと…なんかうまいこと使ってやれんじゃないの!?」
「…?」
『………日向の持ち味である“すばしっこさ”を、影山のトスで使えないかってこと、だと思う…』
「そう、それ!
……俺も…お前と同じセッターだから、去年の試合…お前見てビビったよ
ずば抜けたセンスとボールコントロール!
そんで何より…敵ブロックの動きを冷静に見極める目と判断力!!
…俺には全部ないものだ
技術があって、やる気もありすぎるくらいあって、何より…“周りを見る優れた目”を持ってるお前に、仲間のことが見えないはずがない!!」
「……………」
(あ、これわかってないやつ…)
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作者名:サッカーバカ | 作成日時:2021年2月13日 22時