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8-3 ページ41

『………すみません、今の気にしないでください』

「おっ、おうっ」









菅原さんにそう言って俺は試合を見る









田中さんがレシーブであげたボールを、影山がどちらに上げるかほんの少し迷った後









「影山!!!」

「!?」

「いるぞ!!!」









全力で打ち込んだ、と思ったらへろんへろんのボール
だけどそれでも1点は取れた









「お前、何をイキナリ」

「でもちゃんとボール来た!!!」

「!」

「中学のことなんか知らねえ!!
俺にとってはどんなトスだってありがたぁ〜いトスなんだ!!
俺はどこにだってとぶ!! どんなボールだって打つ!! だから、俺にトス、持って来い!!!」

『……俺』

「?」

『今まで、怖いって思ってました…けど…今の日向のおかげで、少しだけ怖くなくなりました』









今、影山は田中さんにあげようとしていたのに日向の声と動きに咄嗟に反応してトスをあげた


しかもあんなに正確に









(俺にはなかった才能、潮田にはあった才能が…違う才能であれど、影山にもあった…バレーの才能…)









天才だ





努力でなし得たものじゃない…いや、確かに努力でなし得たものかもしれないけど、これは…








本物の天才だ









「俺、どんなトスでも打ちますよ!打つからな!!」

「…合わせたこともないのに、速攻なんてまだ無理だろ」

「なんだお前、変!そんな弱気なの気持ち悪い、変!!」

『………』

「“王様”らしくないんじゃなァ〜い?」

「今ぶち抜いてやるから待ってろっ!!」

「まァーたそんなムキになっちゃってさぁ
なんでもがむしゃらにやればいいってモンじゃないデショ
人には向き不向きがあるんだからさ」

『……………』









確かにそうだ
努力をしても、補えるものがない時がある




バレーで言えば、それは身長だ









「…確かに、中学ん時も……今も…俺、跳んでも跳んでも、ブロックに止められてばっかだ
だけど、あんな風になりたいって思っちゃったんだよ
だから、不利とか不向きとか、関係ないんだ
この身体で戦って勝って勝って、もっといっぱいコートにいたい!」

『……………………』

「…だから、その方法がないんでしょ
精神論じゃないんだって“キモチ”で身長差が埋まんの?
リベロになるなら話は別だけど」

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作者名:サッカーバカ | 作成日時:2021年2月13日 22時

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