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「そんな条件…」
「須王の当主は理事長だが、実際の最高権力者は会長職であるあのお祖母様だ
おまけに環の母親は体が弱く、須王の援助なしで路頭に迷えばどうなるかは知れている」
そんなことが…あったなんて
「寂しさからか…それとも環を金と引き換えに自分を責めたためか
母親はその後、身を隠すようにどこかへ移ったらしい
まあ、理事長のことだ。密かに居場所くらい掴んではいるだろうが」
「あのバーさんも引き取ったんなら殿を認めりゃいーのにさ
息子を唆したフランス女への恨みが未だに消えないってわけ」
環先輩…
人のこと、おしんとかなんとか言っておいて…
「同情するのは簡単だが、でも俺は環が環でよかったと思うんだよ」
鏡夜先輩の言葉が分からなかった私は首を傾げていると、「須王君がねぇ」と入り口に燈哉お兄と雪都お兄がいた
「そりゃあ、皇月家も手を貸すわけだ」
『お兄…』
「大丈夫。婆さんならここにはいないよ…」
ホッとして息を吐き出すと、「ご説明してくださいますか?」と鏡夜先輩が口を開いた
「理央とあの皇月家当主の関係を」
「…………及川は、母親の名前だ
父親の名前は」
「皇月」
春矢お兄が言った途端に、みんなは目を見開いた
「皇月理央、それが…理央の本当の名前であり、嫌われる理由のひとつだ」
『………………』
「うちの家は須王君と同じような感じだ
母と父は19で恋に落ち、子をもうけた。それが」
「俺と春矢」
夏雄兄が言えば「えぇ」と春矢お兄も言う
「それから2年ごとに子供を産んだんだ
俺たちが産まれてお祖母様は喜んでたよ
家柄がたとえ良くなくても、息子が選んだ人ならって…けど、理央が生まれてそれは崩れた」
「皇月家は代々、男しか生まれなかった
男だけが継げるのが皇月のルールでありしきたりだった
けど、理央が生まれてお祖母様は手のひらを返すように母さんと父さんを責め立てた
それからお祖母様は…理央が高校を卒業するまではお金を出してくれるけど、卒業後は一切皇月との関係を断つように言ってきた」
「そんな…!! 仮にも孫ですよ!?」
「…それでも、女が嫌なんだよ」
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チョコモナ(プロフ) - このお話を読ませていただいて、とても素敵なお話でした!ずっと更新されてないみたいですけど、もう更新はしないのですか?その先の物語も読んでみたいです! (2021年9月1日 14時) (レス) id: f7473ba114 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:サッカーバカ | 作成日時:2020年10月27日 0時