桜蘭学園ホスト部の恋3 (ページ10)

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「どうにも多忙で学院に顔を出すこともままならないが…どうだね学院には慣れたかね？
何か困っていることはないかな？
ちなみに君たち、ウェブスターに興味はあるかな？」

「おかげさまでだいぶ慣れました
特にお耳に入れるほど困ったこともありません
ジーン＝ウェブスターのことなら、「足長おじさん」を読んだくらいで…」

「素晴らしい!! 君!!」

「はっ」

理事長はずっしりとするレターセットを二つくれた

「いやなに…。そもそも私が奨学金制度を採用したのは、貧しいが志ある少年少女の「足長おじさん」になってみたかったからでねえ…」

『定期的にお礼の手紙を書けばいいんですね…』

「女の子なのを隠している事情も大体把握しているよ
こんなに可愛いのに環はひどい男だねえ？
そうだ今度おじさまが素敵なお洋服を…」

「お父さん!!! ハルヒと理央に無駄に近づかんでください!! 忙しいのでもう失礼します!!」

環先輩が手を掴んで引っ張っていくので、理事長に頭を下げた

「及川君」

『？』

「…“弥生子さん”…おばあさまによろしくお伝えしてくれるかな」

『(ｽﾞｸﾝｯ』

理事長は優しい笑顔でそう言い、私は『は…い』と震える声で返事をした

鏡夜side

「鏡夜君。この度は見事だったね
最終戦で目的地を誤算した連中をあえて泳がせ、同時刻に屋上に到着しデッドヒートに持ち込むよう仕向けたのも全て君の計算通りなんだろう？

ギリギリまで白熱してこそ勝利にハクがつくというものだからね」

「…理事長の白紙の脅迫状にも救われました
おかげでみんな、混乱して手間取りましたからね
アメフト部との争奪戦に闘志を燃やしてもらうための犯人探しです
あまり早い解決は望みませんでしたから」

「君のお役に立てたなら光栄だよ。なにしろ、ラストで環に王冠を取らせたのも君のシナリオ通りなんだろうからね」

ほぉ…どこまでも知っている

「もちろん、半分は君自身のためなんだろうが…学院祭当日には須王家の人間…うちの母も来る
君が環に花を持たせてくれたことは少なからず環先輩に味方するだろう

私もいい加減、環を本邸に入れてやりたいからな」

「…僕は状況を作っただけです
あそこで環がアメフト部部長の足に追いつけるかは賭けでしかなかった

でも俺は、そういう「強運さ」もあいつの実力だと思ってますから」