悪魔と契約した2人の女王の番犬5 (ページ24)

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「わがまま言ってごめんなさい」

『いいのよ。さ、行きましょう』

ドレスを脱がし、シエルのジャケットを気休め程度に着せる
私もドレスを脱ぎ捨て、先にエリザベスをダクトの方へ行かせる

セバスチャンside

「ふぅ…」

ざっと見ただけでも、船体のかなり広範囲に傷が生じていた

あの様子では3…いや、4区画は浸水しきっているはず

船が耐えられる浸水量は船の重さと同等の質量まで

ということは

「おや、これは…あと1時間足らずで沈没しますね」

海の中に入って乱れてしまった服装を整え直し、これから迎えに行く主君たちの前に出るためにさらにきっちりとする

「水温はおよそ2度。長く浸かってはお身体に障ります
これは急いでお迎えにあがらねばいけませんね」

一等の旅客ホールを走り抜け、坊ちゃんとお嬢様をお迎えにあがる途中に助けを求める男がいたが、そのまま跳ね飛ばされてしまう

どこからあんな馬車のようなものが…

「…下へ急がねばなりませんね」

あのようなものを相手している時間はないので

アニエスside

「くそっ、なかなか開かない…」

「大丈夫？シエル」

ガタガタと通風口の蓋を開けようと奮闘していたシエルは、勢い余ってそのまま下へと落ちて行く

「シエルッ」

「痛ッ…(ﾄﾞｻｯ
…くない？セバスチャン！」

「遅くなりまして申し訳ありません
3人とも、お怪我はございませんか？」

「シエルが守ってくれたから平気よ！
でも、お義姉様が足首を」

『それよりセバスチャン、叔母様達は？』

「皆様ご無事でらっしゃいました」

エリザベスを先におろし、セバスチャンに手を借りて降りるが、セバスチャンは抱き上げたまま降ろそうとしない

『おい、降ろせ』

「足を怪我されているのなら、歩みは難しいのでこのままで」

『はぁ…』

「それで、叔母様達は？」

「安全な場所へご案内させて頂こうとしたのですが、他の乗客を救助されると仰られまして…」

「お母様らしいわ。みんな一緒なら大丈夫ね、ありがとうセバスチャン！」

「とんでもございません」