強者の首を狩れ【BANANA FISH】 (ページ9)

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綺麗な容姿を持ち、綺麗な目を持ち、天使のような女の子の顔立ちをしたそんな子相手に物騒だとか迫力あるだとか失礼だと思わないのか？なんて言わず、『考えてることは間違いじゃない』と言いつつも、英二をドスドスと突いていく

黒の7部丈のTシャツと腰巻きの緑の白チェックのシャツと、ジーンズ、赤いスニーカーでなければ本当に天使と間違えられてもおかしくないだろう
まあ、天使なんてこの世にいるはずもないが

「あ…えっと、その前に写真、いいかな？」

「………顔は映すなよ」

「伊部さん、ここでそういう流れに持っていきますか？」

「わかった、英ちゃん準備して」

「聞いてましたか!?」

『オラ、働け』

「わかったよ！」

プンスカと怒りながら伊部さんの指示でケースの中を探り始めた英二にクツクツ笑いながら、カウンターに向かい『ビール一杯』と言えば、気前良くビールの準備をしてくれる

「あー！姉さんだけずるいよ！」

『付き添い舐めんな』

「なんだよそれー！」

ぷくーーっと頬を膨らませた英二にケタケタ笑ってやると、「日本じゃ、子どもをアシスタントに使うのかい？」と悪気のない嫌味なその発言に英二はピクリと反応した

その話題は英二にとってはタブーで、触れてはならないパンドラの箱並みの話題なのである
眉を吊り上げて彼をジロリと振り返った英二は、「僕はあんたより年上だよ！」と反論した
そんな言い方に子どもらしさが残っているので、フルフルと体を揺らせば「姉さん！」と叫ばれる

『くくくっ…！子どもっぽい怒り方…！』

「へえ、そりゃ失礼。子どもかと思ったもんで」

「自分だって子どもじゃないか…！」

『くくくく…！』

「姉さんもいつまで笑ってるつもりだよ!!」

『あっはははははは!!!』

「姉さん!!」

『くっ…ははっ…悪い悪い』

顔を赤くして怒っている英二の頭をわしゃわしゃと犬の頭を撫でるように撫で付けると、「もうっ！僕は子どもじゃないぞ！」と反論する
立派な子どもだよ。怒り方がな

完全に拗ねながら仕事の手伝いをする英二を微笑ましく見ながら出されたビールを口につける
カツカツと指を動かしていると「お姉さん、昼間会った人？」と覗き込んでくるのはあの子どもだった

『だったら？』

「お姉さん、俺とまた会うの知ってたの？」

『知ってたら、こんなところに来るはずないね』