強者の首を狩れ【BANANA FISH】 (ページ6)

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1話出会いページ6

ニコニコと笑いながら忠告してくる派手な少年に、ちょっとばかり息を吐いた後『余計なお世話、どうもありがとう』とだけ吐き捨てる

『あぁ、英二？今、ベーカリーにいるんだけど何か食べたいのある？』

《ベーカリー!? えっとじゃあ》

『食べれる分だけにしろよ…』

電話の向こうでよだれをたらしている気しかしない英二にため息を吐いた後、パン屋で何を買うか考えていると、ブロロロ…とエンジンを吹かせてさっきの子どもたちが走っていくのが見えた

それを見送った後、《姉さん、聞いてる？》という英二の声に『あぁ、聞いてるよ』と答えながらベーカリーの中に入った

その日の午後、英二と伊部さんと共にやってきたのはニューヨーク市警だった
署内の廊下を歩いている英二は周りを見て「うわぁ、ほんと「CSI:NY」みたいだ…」と言って興奮している

その隣をサングラスをかけて『はいはい』と答えながらスマホのキーボードに文字を打ち込んでいく

「おい英ちゃん、海斗ちゃん。迷子になるなよ？」

「はーい」

刑事課の一室で待たされた途端に、入ってきたのは立派な腹をこさえた男…ジェンキンズ警部らしい
そのお腹なら、将来は出世率間違いなしだろう

「お世話になります。伊部俊一です」

「ジェンキンズです。マックスがあんなことになって、さぞ驚かれたことでしょう」

「いやぁ、奴を頼ってきたら、まさか刑務所に入ってるとは…でも、チャーリーのおかげで助かりました」

「あいつとは、ポリス・アカデミーからの同期ですから」

今回の旅の頼りにしている友人、マックスという男がある事件を起こして刑務所の中にいるらしい
なんとも馬鹿げた話で腹を抱えてクツクツ笑ったのはまだ記憶に新しかったな

「おや？こちらは息子さんと娘さんかな？」

キョロキョロと落ち着きがない英二と、そう言われてスマホから顔を上げてジェンキンズ警部を見上げる私に、警部は優しく微笑みかけてくる

「偉いなぁ、お父さんのお手伝いかい？」

「…？……!?」

『(ｸﾂｸﾂ』

「姉さんっ！」

自分に向けられた言葉だということがわかった英二は、ムスッとして私に言い返す
たまらず耐えきれなくなった私は『はっはっはっ！』と腹を抱えて大きく口を開けて大笑いした

『クックックッ…あっははははは！』

「もーーっ！姉さんっ！」