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「これで、いいだろう…」
『…ありがとうございます』
メレディスのところからチャイナタウンのドクター・ヤンという男の診療室に来ていた
肩に突き刺さっていた銃弾は幸いにして貫通しており、全治3、4ヶ月という長い期間となった
「痛みは？」
『特にないです』
「化膿止めと痛み止めを出しておくから、ちゃんと飲んでね」
『はい』
血みどろになったパーカーをゴミ箱に投げ捨てた後、スマホを取り出してガチガチとしながら部屋を出ると「姉さん！」と英二が駆け寄ってくる
「肩は？」
『安静にしてればすぐ治るよ。それより、頼まれてた物を盗られたな…ショーターに渡すように言われたんだが』
「よっぽど大事なモンだったらしいな。あの慌てぶりじゃ」
「うん…そういえば、どうしてあそこがわかったの？
張大へ行ったらいないって言われたよ」
「いいや、いたさ」
「どこに？」
「ここにぃ」
「あーっ！」
「お前がコブ付きだったから明かせなかったんだ。にしても、まさかお姉さんがコブをぶん殴るとは思わなかったけどな」
『あぁ、腕っ節には自信があるもんでね』
撃たれた肩の痛みに眉をピクリと動かすと「やっぱり痛い？」と不安げに聞いてくるのに『大丈夫だって』と頭を撫でくりまわす
『とりあえず、今日は休もう』
「そうだな」
張大のある一室を貸してもらい、ショーターと英二はグースカ眠り始め、私は自分のスマホを使って伊部さんに今日は帰れないことを伝えた
もちろん、ピコピコとうるさく震えるので、詳しいことは明日話すという有無を伝え、電源を落としソファの背もたれに体を預けた
今日は疲れた。撃たれた上にまた何か始まりそうな気がしてならない
目頭を指で押さえた後、腕を組み小さく丸まって目を閉じた
翌日、朝の早くからなんとか起き上がり、チャイナタウンの建物の影で通りを監視しながら伊部さんがくるのを待っていると、人混みの中からふさわしくない服装で現れた伊部さんがいた
通り過ぎようとした伊部さんの襟首を掴み、口元を手で押さえて声を上げさせないようにしてそのまま路地の中に押し込む
「た、頼む命だけは！…って、海斗ちゃん!?」
『おはよう、伊部さん』
「どこ行ってたんだ！丸一日、連絡も寄越さないで！」
『成人してる人間の保護者か？』
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作者名：サッカーバカ
| 作成日時：2021年10月19日 11時
