強者の首を狩れ【BANANA FISH】 (ページ44)

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ショーターの隣の部屋のカーテンが開くと、車椅子から立ち上がった痩せている男がいた
意識が朦朧としている上に焦点があっていない。…麻薬か

「ヒッ!? …グ、グリフ」

『…？』

「うそだ…ウソだ！死んだはずだ！死んだはずだお前！なんでこんなトコに!?」

パニックになった男をぼんやりと見ていたグリフと呼ばれた男は、わずかに生気が蘇った

「…あんた…バナナフィッシュ…………エイブリー」

「うわあああああ、来るなあッ!!」

『！』

「よせ！」

銃口を向けた男の手を掴み、咄嗟に上にあげればバンッと銃が発砲する

『…っおい、英二！その人と奥に逃げろ!!』

「うん！」

拘束されているものの、逃げ足は早いんだ。なめんなよ、陸上部のエースなんだからな、英二は
掴んでいた手首が勢いよく離れると、またバンッと銃が乱射された

今度はグリフにこそ当たらなかったが、自分の皮膚を突き刺すには十分だった
ドサリと床に倒れ、自分の肩口を押さえながら蹲ると「お姉さん！」とショーターが叫ぶ

そんなショーターの隙をついたオーサーが鳩尾に肘打ちを喰らわせ、振り向きざまに腕を叩いて落とした

「姉さん!!」

『下がれ、バカ！』

持っていた銃のセーフティを上げた後、『ショーター、隠れろ！』と叫びながらトリガーを引く
「わわわっ！」と慌てながら壁に隠れたショーターと同時にトリガーを引いていく

なんとか体を起こして壁際に背中をつけて銃弾が飛んでくるのが収まった後に反撃として撃つ

「またな、ショーター」

オーサーがて玄関を出て行き、震えている男を連れて逃げていく
装填されている弾全てを撃ち込むと「このケリはいつか必ずつけると、アッシュに言っとけ！」と捨て台詞を吐いて階段を駆け降りていく

「くそ…おい、大丈夫か？」

『バカ…触んな…響く』

「あ、あぁ…」

血みどろになる自分の手よりも、使えなくなった銃を床に落とすと「姉さん！」と拘束を外されてこちらに飛び込んでくる英二をしっかりと抱きしめる

「姉さん…姉さん！」

『大丈夫、大丈夫』

ぽんぽんと背中を叩くと、涙ぐみながら「ごめん…僕が」と言うもんだから『気にしなくていいから』とふわふわの髪の毛を撫でつける

『それより、あの人は？』

「アッシュの、兄貴だ」

「「えっ!?」」