強者の首を狩れ【BANANA FISH】 (ページ41)

今日:42 hit、昨日:20 hit、合計:15,841 hit

7-7 ページ41

スン、と匂ってくるものに鼻が勝手に動く。如何にもこうにも、こういった場所の匂いはラーメン屋などを思い出してしまい、小腹が空いて仕方ない

腹の虫が鳴らないことを祈りながら張大に入ると、スープを飲んでほうっとしている英二がいた
向かい側の席に座ると「遅かったね」とジトリと見られた。そりゃあね

出されているスープを警戒することなく飲むっていうのはいただけないが、ここは仮にも飲食店。ご飯に何かを盛るなんてことはらないだろう
そこは信用していいだろうが…だがまぁ、警戒は怠らない

『聞けた？』

「うん…ショーターはいないって」

『ふーん』

ガムを膨らませていると「ハイ、これ飲むといいよサービスね」と目の前に妙な登場をしてきた男が現れた
目をパチクリとさせると『ハーイ』と頬杖をついて目を細めてははーん？と笑みを浮かべる

「なにか聞きたいことあるね、オネーサン？」

『ショーター・ウォン』

「！」

『っていう子にコレ、渡してくれる？』

「誰も彼がどこに行ったか知らない」

ふたつに折りたたんだ紙を見て男は首を振りながら残念そうに言う
追っ手はいないし、この店内には私と英二のみの客だけだ。なるほど、念には念をということか

『OK。英二、行こう』

「えっ？もう？」

『善は急げ。遅くなったら先手必勝で負けるからね。邪魔したね』

「またいつでもくるといいよ」

あまりに多すぎる代金を払った後、張大を後にする
さっきノしたあの子はまだ寝てるだろう。夕方になっている外を英二がトボトボと歩きながら「結局、手がかりがないなんて…きっとガッカリするだろうな、アッシュ」と肩を落としている

『仕方ないじゃん。いないんだもん』

「うん…。とりあえず、ドクターのところに行ってみようかな」

『そーしよそーしよ。住所は？』

「えーっと…」

英二がメモアプリで書き留めた住所をマップアプリで検索をかけた
どうやら古い雑居のビルの一室にあるらしい
そちらに向かい、どうにかドクターに話を聞いてみるしかないだろうな

『ここ、か…』

「なんだか、静かだね」

コンコン、コンコン、とドアをノックして『失礼しまーす』と英二の腕を引いて素早くドアを閉める

「ん？なんだねキミたちは…」

『どうも初めまして。ドクター・メレディス
私たちはアッシュの使いの者です』

「…アッシュの？」