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それもまあ、6年も前の話だ。…そう言えばあいつ、今どこで仕事してるんだろ…日本にはいないとか噂で聞いたけど…まあ、元気で今も支配してるんなら心配することはないだろう
「海斗、あの…」
『今調べてる途中なんだけど、これといって目ぼしい情報がなくてね…なんか知らない？』
身を寄せて聞いてみると、「バナナフィッシュ」という単語が飛んできた
復唱せずに脳内でバナナフィッシュという言葉を刻み込み、『やっぱ、わかんないか〜』と答えると、英二はキョトンとこちらを見ている
「なにが？」
『見舞いに行った時に面白いって教えてくれた本の名前』
「姉さん、読書家だもんね。気づいたら参考書や専門書読んでるし」
そういうこと。と頬杖をつきながら頷く
バナナフィッシュ、か…なんか関係あるとしか思えないな…帰ったら検索かけてみるか…
「伊部、英二、海斗。そろそろ…」
「あ、はい」
『はいはい』
席を立ち、出口へ向かうために足を動かす
「じゃあ元気で。大丈夫、すぐ出られるよ」
『下手に問題起こして刑期が伸びないように』
英二が穏やかに言い、私が揶揄うように呟けばアッシュは優しく微笑んだ
しかもパンケーキの上にのっている生クリームの甘〜い極上の笑みだ。青ざめて『うげぇ、甘っ』と舌を出せば、伊部さんが苦笑いしている
「あぁ…今日は来てくれて嬉しかったぜ、英二」
「え？あ…うん…」
『……………ご愁傷様』
「え？なに、え？」
ソレが完全に既視感なので英二の肩を軽く叩いて距離をとった。だって巻き込まれたくないし
1人現状を理解できていない英二と、全てを察して傍観する私、伊部さんとチャーリーは頭にハテナを浮かべ、完全に極甘な笑みを浮かべるアッシュ。なんとも混乱した現場だ
「今度は1人でこいよ…な？」
「え？それ、どういう…」
英二の言葉を皆まで言わせないアッシュは、英二の唇に自分の形のいい唇を乗せた
はい、お疲れさん。6年ぶりに見た他人のディープキスに既視感というよりも、自分が体験してきた上にファーストキスという概念を潰された思い出が蘇ってくる
アッシュは英二の腰に手を当てて軽く引き寄せ、そのまま優しくキスを続けている
うひゃー、初対面ビッチビチよりも優しいキスでよかったと思うよ。私はさ。渚は犠牲になったけど
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作者名：サッカーバカ
| 作成日時：2021年10月19日 11時
