強者の首を狩れ【BANANA FISH】 (ページ36)

今日:36 hit、昨日:20 hit、合計:15,835 hit

7-2 ページ36

『突発的な凶暴性、攻撃型、破壊行動…LSDにこんな症例なかったが…』

そう言えば、殺せんせーなんか言ってたな。最近、新しいヤク物ができたんですよ！はい！なんて感じで言ってたな…その時間は眠すぎてろくに聞いてなかった時間だったな…なんだったかな…まあ、6年前に出来上がった薬なんて今じゃ別にそこまでだろ。ただの粗悪品だろう

せめてその薬のサンプルさえあればなんとかなるんだが…
ぐしゃりと前髪をかきあげて『くそ』とスラングを吐き捨てる

「姉さん！姉さーん！」

『なに』

「アッシュが面会したいって！」

『アッシュが、面会ぃ？』

眉を寄せて訝しげになった表情に、英二は「姉さん、早く支度して」と気にすることなく言うもんだから、『ったく…』とベッドに広げていたパソコンなどの類を放置してパーカーを掴んで英二達のあとを追いかけた

フォークナー刑務所の面会室に来るのはこれで2回目だ。チャーリーはマックスと別のテーブルに座り、私は伊部さんと英二と固まって一つのテーブルについている。もちろん、アッシュもいる

「よくきてくれたな、英二、海斗」

「キミが会いたいって言ってるって聞いて、嬉しかったよ。ね、姉さん」

『え？あ、あぁ…まあ』

煮え切らない言い方にテーブルに置いてある紙コップの水を煽った
なんだろうか、この嫌な視線と気配は…気づかれないように周りをぐるりと目だけ動かして見るも、誰もこちらを見ている気配はなかった

気のせいか？それとも過敏に反応しすぎたか？
どちらにせよ、疲労が溜まってるんだろう。ここ最近眠れてないしな

大きなあくびを噛み締めて腕を組み、パーカーの襟に首をすぼめる

「伊部さん、あんたまだ写真撮ってんだって？俺の仲間、どうしてる？」

「…ん、実は危なくて近寄れない状態でね…。海斗ちゃんがたまに見に行ってくれてるんだけど…」

「今、1番幅を利かせてるのがあのオーサーらしいんだ
どういう状況か、わかるだろう？」

英二に言われてアッシュは自分の手のひらに拳をぶつけて苛立たしげに呟いた

「くそっ…あの卑怯者め！」

『卑怯をするならもっと堂々とすればいいのにな』

「たとえば？」

『外国人選手使って体育祭棒倒し獲りにくること』

「マニアックだよ」

『実際そうだったよ。卑怯してないだろ？って顔してやってた』

「え、そうなの？」

『マジで』