強者の首を狩れ【BANANA FISH】 (ページ34)

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「姉さん、よく言ってたよ。理不尽と戦って楽しく過ごすって」

「…………」

「そのためなら、なんだってするんだって言ってた」

理不尽と戦う、か…
あいつはそれを自分が自分らしくあるために戦ってるんだろうな

「……お前はいいな…あんな風にとべて」

海斗side

『〜♪』

口笛を吹きながら市立病院に入ってコーヒーを買って英二と伊部さんのところに行くと、ホロホロ泣いている英二がいてギョッとした

『え、英二？』

「…姉さん」

『ど、どうした…』

ぽすん、と肩に額を当てて泣いている英二の背中を叩くと「僕、とても言えない…」と消え入りそうな声で言うもんだから、少し混乱したものの、多分アッシュに関係しているんだろう

「アッシュはなんて」

「チャーリー」

「！」

「今はちょっとだけ待ってくれないか。少し落ち着くまで」

『英二、こっちおいで』

伊部さんとチャーリーをその場に残して近くのベンチに座って買ってきたコーヒーを差し出せば英二は涙を流しながら受け取り、ぽつりぽつりと言う

「アッシュはもう、覚悟を決めてしまってるんだ…
僕はとても言えなかった。他のやつに任せろなんて…敵わないってことは、彼が一番よく知ってるんだ」

『わかった、わかったからもう泣かない…ね？
私たちが見届けてやろうよ、最後までさ』

ふわふわの髪の毛をぽんぽんと優しく撫でると、「姉さん…」とまた目を潤ませて泣いてくる
あ"ーーもーーー

『いいからもう泣かないの』

でっかい目から大量の大粒の涙を流している英二の頭を容赦なく撫で回す
「うう〜」と泣くのがひどくなった英二に『お前は〜』と頭を抱えた

「海斗！今日、マックスに会うと言ってたな？」

『あ？え？あ、うん…まあ』

「俺も一緒に行く！」

『…はあ？』

駆け込んできたチャーリーが私の両肩を掴み、そう言ってくる。おい怪我人の肩を掴むな馬鹿野郎
眉を寄せて『何言ってんの？』と聞けば「説明は後だ、早く！」とチャーリーに腕を引かれる

「ね、姉さん!?」

チャーリーに腕を引っ張られながら後を追いかければ、連れて行かれたのはフォークナー刑務所だった

「こっちじゃよくあることなのか？裁判なしで刑務所行きってのは…」

連れてこられた刑務所の面会室で伊部さんが聞いて、私が頬杖をついてさっさと終わらないかなと思った