強者の首を狩れ【BANANA FISH】 (ページ30)

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「海斗…その」

『気休めの言葉ならいらないよ。それが答えだ』

「海斗…」

チャーリーが何か言おうと口を開いたが、それをグッと飲み込んでいる
何を言っても意味がない、響かないと理解したのだろう
賢明な判断だよとでも言いたげに口もとを緩ませたあと、『病院に戻るよ。英二が気になるから』と言って背を向けて歩き始める

英二のいる市立病院に向かうと、肩を包帯でぐるぐる巻きにされている英二がいた
私に気づいた英二が「姉さん…海斗姉さん!!」と堰を切ったようにこちらに涙を流して駆け寄ってくる

それを受け止めれば、英二は「姉さん…っ」とグスグスしながら抱きついてくる
心配かけたな、なんて言いながら頭を撫でれば「僕、僕…っ」と嗚咽混じりで伝えようとしてくるのに、『お前はよくやった。偉いよ、立派だ』と頭を撫でる

英二を伊部さんに任せた後、あのハンプティダンプティのことについて調べることにした
一応のために手当てを受けていたスキップに色々と聞くために待合室に行くと「はい、コレ」と私のバックパックを渡してくれた

『スキップ』

「チャーリーから預かってた」

『そうか…サンキュー。スキップ、ちょっと聞きたいことがあるんだ』

「？」

『殺された男の名前、わかるか？』

「マービンだよ。ゴルツィネって奴の手下なんだ」

『ゴルツィネ？』

「うん。ディノ・ゴルツィネ」

『ディノ…ゴルツィネ』

頭の中に埋め尽くされたのは、コルシカという文字だった
あぁ、思い出した思い出した。あぁ、なるほど…ディノって、ゴルツィネのことか

ってことは…

タブレットを開いてファイリングしておいたデータをダブルタップし、資料を読み込む
コルシカマフィアのボスで、少年愛が狂っていると噂されているオヤジだったな…
確か、知ったのは6年前だったな…そうだ、殺せんせーに雑学知識で教えてもらったんだ

『あった…』

「うわあ、海斗ちゃんすごいな」

『忘れてた。こいつのデータベースハッキングしたことがあったんだ』

「ハッキングぅ!!?」

トントンと指で叩きながらデータを読み込む
ふむふむと唸りながら『よし』と電源を落とす。振り返りも復習も終わり。あとは予習とデータベースハッキングの手立て、作戦立てるのと…

『アッシュは？』

「チャーリーが言うには、手当てを受けて病室にいるんだってさ」

『んじゃ、あとで面会させてもらうか』