強者の首を狩れ【BANANA FISH】 (ページ28)

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『ふーーん…悪どい趣味だったわけか、ハンプティダンプティは…』

テーブルの上に置かれているいかがわしい雑誌をパラパラとめくりながら言う
隣に座るアッシュは下を向いて何も言わない上に目を閉じている
何も聞きたくないという顔をしながら

パサリとテーブルに置き直すと、フィルムムービーだと言われてスクリーンに何かが流れ始める
それを一瞥した後、『止めていいよ』と目を閉じて言い放つと、刑事さんは素直に止めてくれた

『んで？私にこれを見せたってことは、何か言いたいんでしょ？』

「…………勘がいいな、お嬢ちゃん」

『伊達にいろいろとやってないからね』

肩をすくめて大袈裟に笑ってやると、「聞くところによると、お嬢ちゃん」と刑事さんは何か確信を持った瞳でこちらを見ている

「殺し屋だそうだな」

「「!!?」」

『…………だったら？』

小首を傾げる仕草を見せるも、刑事さんはさらに追い討ちをかける

「銃の扱いも凄かったらしいじゃねぇか」

『チャーリー、バラしたのか』

「あ、いや…」

目を泳がせるチャーリーを睨んだ後、『クレーン射撃やってたから』と息をするように嘘を吐いた
実弾銃を使ったことあるなんて言ってみろ。日本じゃ1発即逮捕だ

「ホー？」

『はっきり言えば？』

「お前さん…日本政府が依頼した中学生じゃねぇだろうな？」

『……だったら？どうすんの？』

目を細めて聞いてやれば、刑事さんは「図星か？」と刺しこんでくる
別に図星も何も事実だ。それについては一切の黙秘を貫くのと同時に『さあね。日本じゃ、そういうことがあったし、私は当事者じゃないんでね』と答えておく

「そんな狂ったガキがアメリカにいるって聞いたんだが、どう思う？」

『いいんじゃないの？観光かなんかでしょ？』

「その中学生が俺の目の前にいるって言ったらどうなる？超生物に洗脳されたガキだ」

『………………………何が言いたい？』

明らかに自分の声色が変わっていく

「お前さんも、人を殺したんじゃねぇのか？」

プツンと何かが切れた音がした

自分の目の前にあるテーブルを自分の足で蹴り上げ、天井にぶつけたあと目の前に座っている男の胸ぐらを掴み上げて床に叩きつけ、拳をそのまま振り下ろし鼻先がぶつかるまで一気に振り下ろした